医療保険の歴史と課題を今一度振り返ろう!
はじめに
我が国の人口動態は、急速に少子高齢化が進み、日本の総人口も2050年頃には1憶人を切り、老齢人口率もますます高まることが確実視されています。
そんな状況下では医療保険の役割は大きくなっていくことが予想されます。
今回、我が国の医療保険の歴史について今一度振り返り、さらに今後の課題について考えてみたいと思います。
医療保険の歴史「第一次世界大戦前」
1914年の第一次世界大戦以降、日本の工業は急速的に発展し、それに伴い過酷な労働を強いられた労働者達の不満も急増しました。
工業が発展しても、社会が不安になってしまったのです。
すると、戦後の不況もあいまって、生活の安定と健康を求める運動が盛んになりました。
1922年、この運動が契機となり、国民健康法が制定されました。しかし、国民健康法は主に、都市部で働く労働者が対象であり、国民の数に対して適用者はそれほど多くはありませんでした。
それから、1932年に国民健康保険が始まりました。
さらに1942年、国民健康法が改正され、組合員資格のある者は強制的に保険加入ができるようになったのでした。
医療保険の歴史「第二次世界大戦後」
1961年、国民皆保険が達成されます。
当初国民健康保険は、強制保険の計画でしたが、当時はまだ任意保険でした。
国民皆保険達成までの流れとしては、運営が組合から市町村にまず変更されます。その後、健康保険と国民健康保険加入者は、次第に増加し、国民皆保険が達成されましたのです。
さらに日本は高度経済成長期を迎え、世界第二の経済大国に発展します。
当初は5割負担だったり、保険外の医療も多くありましたが、国民皆保険で全ての国民に医療が保障されることになりました。
その結果医療費は急増し、保険料も上がりましたが、当時は高度経済成長期だったため国民の所得も右肩上がりに増え、あまり経済的負担をかけることなく医療費をまかなえることができました。
このように、日本の医療保険制度は高度経済成長とともに発展していったのです。
少子高齢化時代の医療保険
現在、日本は他の先進国同様に、少子高齢化が急速に進んでいます。社会構造の変化によって深刻化する社会保険や医療保険の財政問題を解決するために、社会制度の改革を進める必要があります。具体的には、年金・医療・介護の社会保障制度を見直す必要があります。
まず、第1に公正な基準による要介護認定・施設入所判定の検討・見直し、第2に家族介護に現金給付金を支給することです。それから、第3に高度のサービスに高額の報酬を求めること、第4に事業所の統合による経営力の向上を政策的に促進することなどが挙げられます。
健康長寿でありたいという願いは、世界各国共通なものであり、我が国もこの願いの実現に近い位置にあります。
また我が国の医療保険水準は、世界でもトップレベルです。しかし、今や経済成長の鈍化と人口動態の変化、医療費などの社会保険制度の危機等により、財政状況は窮地に追いやられています。
これらの点から考えても、現在から未来にかけて我が国の医療保険制度は、長期的な視点に基づく変革が急務と言えます。