2015年の介護保険制度の改正は、介護報酬の引き下げや、一部利用者の自己負担割合が2割となり、利用者にとっても事業所にとっても厳しい改正となりました。3年に一度見直しがされる介護保険制度ですので、次回は2018年となりますが今後はどのように変わるのでしょうか?
日本は超高齢化社会へと加速の一途をたどっています。加えて雇用の不安定さなどを受け国の財政難は続き、年金受給額の引き下げ、受給開始年齢の引き下げなどが検討されています。国の医療費負担も年々増加傾向にあり介護保険も例外ではありません。高齢化が進み、高齢者が増加すれば介護や医療費などの社会保障費は膨らみます。国は、これらの対策として、生活保護の受給の見直しや、介護報酬の引き下げなどを行ってきましたが、なお社会保障関係費は増加しているのが現状です。
団塊世代が後期高齢者になる2020年には、社会保障関連費は増加し更なる深刻な事態が予想されます。
2018年の介護保険制度の改正によるポイントとしては以下のような点が挙げられます。
・要介護状態の改善
介護サービス費用の抑制のために国は要介護状態にならないように介護予防に力をいれ、介護予防、日常生活支援総合事業などは全保険者に完全実施されます。
・介護療養病床などに代わる医療施設
現在の介護療養病床は新たに「介護医療院」として増設され6年間の移行期間を設けて、徐々に移転を行う方針です。
・共生型サービスの増設
ホームヘルパーや、デイサービス、ショートステイなど「共生型サービス」とし障害福祉事業所、介護保険事業所が受け入れやすくすることで、限られた人員を最大限に活用することができます。
・総報酬割に変更
2018年8月から大企業や、公務員などの高所得者の負担割合が増加する仕組みに変わります。
現在の介護保険は、第二号被保険者数に応じて負担が決まる「加入者割」ですが改正により、報酬額に反映した「総報酬割」になるため高所得者の負担が増えます。
このように介護保険の改正によって、今までよりも保険料の負担が増す人や、特別養護老人ホームへの入所要件が変更され入所できない人が増えたり、一部の利用者の負担が1割から2割に増加するなど問題も多くあります。
2018年の介護保険改正案通りに制度改正されれば、今まで生活を支えていたサービスが受けられなくなる高齢者が大勢出る可能性があります。国や、自治体はこのような高齢者をどう支えていくかが今後の大きな課題となるでしょう。