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就業不能保険はうつ病でも支給される?

2019.06.12
分類:その他

はじめに

就業不能保険は、万が一、ケガや病気で長期間仕事ができなくなり、給与を受け取れなくなった場合の備えとして近年話題を集めています。 ところで、就業不能保険に加入していれば、うつ病などの精神疾患にかかって長期間仕事を休んだ場合でも、給付金が支給されるのでしょうか? 相談事例も見ながら考えていくことにしましょう。

相談事例

とあるメーカーで営業職をしている32歳、独身男性です。 ここ1、2年、自分の営業成績がかんばしくなく悩んでいたところ、数か月前から、やたらと疲れやすかったり、早朝に目が覚めたりするようになりました。食欲も減ってきています。 それに加えて最近では、気分がふさぎ込むようになり、何をやっても楽しくなく「自分なんかこの世にいない方がいいのではないか?」とまで考えるようになってしまいました。 そんな日々を送っていたところ、小学校時代から付き合いのある親友から久しぶりに電話がかかってきたので、自分の状態を思い切って話してみました。 すると、彼がいうには「うつ病かもしれないので、すぐに心療内科に行け」とのこと。 あまりにも強く彼がすすめるので、仕事を早退し、自宅近くの心療内科を受診したところ、うつ病と診断されました。 抗うつ薬や睡眠薬を処方してもらい、医師からしばらく会社を休んで療養するようにいわれたので、診断書を会社に提出して自宅療養するつもりです。 ところが、有給休暇はあと3日くらいしか残っていなかったことを思い出しました。 就業規則によれば、休職中の給与は支払われないとなっています。 生活費はどうすればいいのか・・・。 ケガや病気で入院し、長期間出勤できなくなった場合に備えて就業不能保険には入っているのですが、うつ病で自宅療養する場合でも給付金は受け取ることができるのでしょうか?

うつ病で就業不能保険は受け取れるのか

この事例の結論からいえば、うつ病で休職する場合、一般的な就業不能保険では給付金は支払われないのが普通です。 これには、うつ病をはじめとした精神疾患には「治癒」という概念のないものが多く「就業不能」と考えられる期間を判断しにくいことや、再発のリスクが高いといった事情が関係していると思われます。

公的な制度を利用する

うつ病で休職し、会社から給与がもらえない、就業不能保険も支給されない。 どうしようもないのでしょうか? そんなことはありません。 このような場合には、公的な制度を利用するようにしましょう。 サラリーマンの方は、このようなケースには傷病手当金の制度を利用することが考えられます。 この制度を利用すれば、平均標準報酬月額の2/3の金額が、最長で1年半にわたって支給されます。

最後に

公的なものとしては傷病手当金だけでなく、労災保険の制度もあります。 うつ病など精神疾患の発症に仕事が関係している場合には、この労災保険が適用される可能性も出てくるでしょう。 なお、数は少ないですが、うつ病で休職した場合などでも給付金を受け取れる就業不能保険も存在します。 ただしこの保険は、ある程度長期間の入院が条件であったり、保険料が高くなったりと、ハードルはあまり低いとはいえないのが実状です。傷病手当金の制度が利用できない自営業者の方などは加入を考慮してみてもいいかもしれませんね。