運送業は、一定の荷主に対する依存度が高く、運賃値上げを巡る動きの流れに乗れないことで、利益率を低下させているケースが目立ちます。
一定の荷主に対する依存度が強ければ、仮に運賃交渉してしまうと、別の運送業者と契約されてしまい、取引を停止される可能性があるからです。
しかし現在、トラック運送会社はドライバーの労働時間削減が必要となり、さらに燃料費の上昇や車両維持費に人件費など固定費負担が重く、原価が収益を圧迫しています。
そこで、トラック運送会社が荷主と運賃交渉を進めていくためにどうすればよいのか、成功させるためのポイントについて解説していきます。
トラック運送会社の運賃交渉について、成功している会社もあればそうでないケースもあります。
その差があらわれる理由として、次の3つが挙げられるでしょう。
・荷主によるコスト負担力の違い
・トラック運送会社の値上げに対する姿勢の違い
・運送サービスの種類による競争環境が異なること
輸送方法や会社の規模に関係なく、業界全体で共通しているのは、トラック運送会社の交渉力が一律ではなく、経営者などの手腕頼りになっていることといえます。
従来までであれば買い手優位の市場だったため、トラック運送会社から荷主に値上げ交渉することは容易ではありませんでした。
売り手であるトラック運送会社は、市場価格といえる運賃を受け入れるしかなく、交渉力を養う必要も機会もなかったといえます。
行政も価格交渉のノウハウをハンドブックにして公開するなど、交渉力強化に向けてサポートを行っていますが、交渉するのは民間の企業同士のためマニュアル通りには進みません。
そのためトラック運送会社自らが問題意識を高め、営業担当者を教育するなど交渉力を高めていくことが必要となるでしょう。
交渉力をこれから高めていくトラック運送会社が、荷主との話し合いの中でより有利な立場となり、交渉を成功させるにはどうすればよいのか悩んでしまうことでしょう。
成功させるためには、主に次の5つをポイントとして押さえておき、交渉にのぞむようにすることをおススメします。
・値上げが必要である根拠を示すこと
・複数の選択肢を準備しておくこと
・交渉が決裂した場合の代替案も考慮しておくこと
・相互の依存度も考慮して交渉を進めること
・営業担当者に責任と権限を付与しておくこと