インターネット通販が多く利用されるようになり、どのサイトでも「送料無料」をサービスとして提供していることが多くなりました。
一定金額を購入すれば送料無料となるケースもあれば、会員であれば送料無料となるケースなど様々ですが、荷物を運ぶドライバーにとっては複雑な心境や虚無感に襲われる要因となっています。
そこで、運送業のドライバーを苦しめる「送料無料」とは実際どのようなサービスなのか、その中身について説明していきます。
インターネット通販サイト側が送料を「無料」としていても、実際の輸送や配達には運賃や配達料が発生しています。
しかし消費者が負担するわけではないため、余計なコストをかけなくて済む表現ができることが「送料無料」「送料込み」「送料弊社負担」などの言葉のメリットです。
複数の商品を購入すれば、重さ・サイズ・荷物の価値も大きくなるため、運賃もそれに比例し高くなるはずですが、たとえば「○○円以上購入で送料無料」という文言などは反対の現象を起こしているともいえます。
いずれもインターネット通販サイト側がサービスの1つとして使っている言葉であり、実情とは異なることが確認できることでしょう。
しかし、トラックドライバーや運送配達員の過酷な状況をみると、「送料無料」という言葉はドライバーを軽視する言葉としても受け取れます。
実際、過剰なサービス提供で苦しむドライバーが増えているのは事実で、長時間労働に繋がる時間調整や無料奉仕ともいえる附帯作業、わずかに段ボールが擦れただけで返品・弁償の要求に横づけ路駐するしかない状況に対する無理解など、行き過ぎたサービスの提供によるしわ寄せを引き受けている状態です。
「送料無料」という言葉は、配達の価値を下げるとも考えれられるため、使い方を見直すべきともいえるでしょう。
燃料高騰やディーゼル車走行で必要不可欠とされる「アドブルー」の価格高騰など、運送業界には様々なデメリットが発生しています。
飛行機などは「サーチャージ料」を高騰した運賃に上乗せしていますが、トラック輸送では現実的ではないとされているのも厳しい状況をつくってしまう理由といえるでしょう。
商品は次々に値上げされているのに、運賃はほとんどが据え置き状態で、むしろコロナ禍による厳しい経営を理由に荷主や元請けから値下げ要求されるケースもある状態です。
運賃据え置きのしわ寄せを受けるのは、すべて末端で働くトラックドライバーであるため、それも踏まえた上での「送料」に対する言葉の使い方が求められるといえます。