運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業の安全性を知りたいとき参考にできる財務諸表の指標とは?

2023.05.07
分類:経営

 運送業では、会社経営の安全性を確認しつつ、利益を生み出していくことが必要といえます。

 安全性を確認するときに、参考になるのが財務諸表による指標です。

 財務諸表とは、決算書のうち金融商品取引法で上場企業などに作成が義務付けられている書類ですが、重要なポイントとそうでないポイントがあるといえます。

 そこで、運送業の安全性を知るための財務諸表の指標について紹介していきます。

 

自己資本比率

 「自己資本比率」とは、総資本の中で新株予約権を除く純資産が占める割合です。

 言い換えれば自己資本に依存している割合であり、自己資本比率が高ければ総資本のうち返済義務のある負債でまかなう部分が少ないことを意味するため、健全性の高い経営ができていると判断できます。

 高ければ高いほど財務的に安定している状態であるため、50%以上なら良好な状態であり、30%程度は少なくとも保ちたい割合といえるでしょう。

 自己資本比率の計算式は以下のとおりです。

 自己資本比率=純資産÷総資産

  

流動比率

 「流動比率」とは、1年以内に支払いが必要な流動負債に対し、1年以内に現金化を予定している流動資産の割合です。

 短期的な債務の支払能力を図る尺度として使用される指標で、1年以内に現金化できる資産が1年以内に返済しなければならない負債をどのくらい上回っているか確認できます。

 そのため流動比率が高ければ、短期的に返済しなければならない負債に対し、早期に資産を現金化できる資産を多く保有しているため、短期的な返済能力が高いといえます。

 流動比率の計算式は以下のとおりです。

 流動比率=流動資産÷流動負債

 

 当座比率

 「当座比率」とは、当座資産の流動負債に対する割合であり、短期的な負債の支払能力を厳密に図る尺度です。

 流動負債に対し、どのくらいの当座資産を保有しているか示すため、財務安全性を示します。

 容易に現金化できる当座資産と、短期に返済しなければならない流動負債のバランスがわかるといえます。

 当座比率の計算式は以下のとおりです。

 当座比率=当座資産÷流動負債

 

固定比率

 「固定比率」とは、自己資本(純資産)に対する固定資産の割合で、どのくらい固定資産を自己資本でまかなっているか知ることができます。

 固定資産は長期的に使用するため、返済期限のない自己資本で調達することが望ましいといえることから、固定比率が低ければ安全性が高い経営ができていると判断できます。

 固定比率の計算式は以下のとおりです。

 固定比率=固定資産÷純資産