運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流・運送業界が抱えるドライバーの待遇改善の問題

2020.04.03
分類:経営

国内幹線物流のメインともいえるのがトラック輸送ですが、労働力不足のその陰には長く低運賃水準が関係しています。

ドライバーの待遇は改善されないままでいっこうに不足している状況が続いているのに、ニーズは高まりモノを運ぶことができないという物流危機。この状況を取り巻く状況について、数年前のヤマトショックが一般的に広く知れ渡ったことなども関係しています。

ヤマトショックとは、ヤマト運輸が労働力不足なのに取扱数量が急増してしまったことで、宅配便サービスを一部見直し配送料の値上げを打ち出したことです。

ただ、ヤマトの前から運賃改定に取り組んでいた運送業者もあり、その取り組みがある程度一巡して一服感が出ていたころにヤマトショックが知れ渡り、物流危機で宅配が大変だと世の中が大きく騒ぎ出したとことと感じる業者もあるようです。

ヤマトショックの前から運賃改定に取り組んでいた企業も

すでに作っていた事業計画には運賃改定を盛り込み、顧客への交渉に動き出したという運送業者もあります。

ただ、この段階で物流危機が広く認識されるようになっていたことが、値上げに対して理解を示すきっかけになったという話もあるほどです。

しかし実際に運賃の値上げに一定の理解は示してもらえても、けっしてよい顔をする顧客は多くありません。

物流業界全体がこれまでの長期に渡り積み残していた課題を一気に解決しようとする動きが起きたことで、運賃は値上げされるものという認識が周知されたといえるでしょう。

バブルが崩壊してからトラック運送業界は自由に参入できるようになり、激化する競争と景気の低迷により運賃水準はどんどん低下しました。

ドライバーの待遇も悪くなり、それによってトラックドライバーとして働きたいと考える方が少なくなってしまったのです。

 

物流業界が引き続き検討しなければならないこととは

現在、物流業界に求められることは、ドライバーの労働環境の改善と待遇の向上でしょう。魅力的な仕事だと感じてもらうことができなければ、いつまでたってもドライバー不足の問題を解消させることはできないはずです。

働き方改革も進む中で、それぞれの運送業者が切り下げられてきたドライバーの待遇をどのように改善させていくのかが課題だといえます。

ただ人手不足のままでは改善しようもなく、この負のスパイラルからどのように抜け出すのかが今後検討の課題として残されたままとなっているのです。