運送業は、以前から現場の人手不足が問題視されており、解消される気配はありません。
燃料費の高騰や労務コンプライアンス厳格化など、取り巻く環境はさらに厳しくなっているといえる運送業界ですが、人手不足問題が解消されない限り現場はまわらなくなります。
そこで、運送業はなぜ人手不足で解消されないのか、若者が集まらない理由や今後の自動化に関する予想など紹介します。
全職業の平均から見ても、バブル景気の頃よりさらに有効求人倍率は高くなっています。
しかし、運送会社のドライバー職については、1995年頃からは全職業平均より高い数値になっており、有効求人倍率は3倍を超えている状況です。
ドライバー職は人気のない業種であることが確認できます。
ドライバー職が人気のない職種である理由として、運転免許制度改正がハードルになっているとも考えられます。
若者の場合、2017年に準中型免許が新設されたため、トラックに乗るハードルが高くなっているからです。
新しい普通免許では、車両総重量3.5トン未満に限定されるため、軽貨物車両または1トントラック、一部の2トントラックのみの運転となります。
準中型免許を取得してトラックドライバーになりたいと考える若者は多くないことが、人気の上がらない理由と考えられます。
運転免許を取得することはそれほど難しくないものの、数万円払って準中型免許を取りたいかといえばそうではありません。
そこで、即戦力の採用にばかり注目せず、未経験者採用に力を入れるため免許取得の支援制度を設けている物流・運送会社もあります。
中型免許や大型免許を取得する費用を会社が負担してくれることで、金銭的な負担による問題をクリアし、未経験者も入職しやすくなると考えらえます。
運送業が完全自動化されるといった話も耳にしたことはあるでしょう。
しかし実際に実現するのか、何年後なら可能なのか誰にも予測できません。
高速道路上での輸送は技術的に自動運転化が可能とされているものの、すべての輸送形態が自動化されるまで一定の時間はかかると考えられます。
そのため物流・運送会社では、技術の進歩に頼らず、現場の人手不足解消に向けた効果的な採用活動を模索したほうがよいでしょう。