首都圏の運送業界は、現在とても厳しい経営が続いているといえます。
背景に、以下の問題を抱えているからです。
・物流の2024年問題への対応が必要である
・人手不足が深刻化している
・労働環境への配慮が求められている
・配送スピードが迅速化できない
・時間指定や再配達による負担が大きい
・燃料費が高騰している
特に物流の2024年問題は、2024年4月1日に施行された働き方改革関連法によるトラックドライバーの時間外労働の制限で及ぶ影響です。
ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されたため、様々な問題が起こっています。
そこで、首都圏における運送業界の問題について、解決方法や推奨される物流のホワイト化を簡単に解説します。
ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることで、次のような問題が懸念されています。
・1台あたりの運行時間が短縮される
・1回の運行で運ぶことのできる積載量が減少する
・配送量確保のために多くのトラックが必要になるため運行コストが増える
・一人あたりの走行距離の短期化で長距離での運送が難しくなる
ドライバーの時間外労働で及ぶ問題への対応として、東京都では以下の取り組みを行っています。
・再配達率削減に向けて消費者や物流事業者の行動変容を促す広報を実施する
・宅配ボックスの設置支援を行い、置き配を促進する自治体や人材確保に取り組む事業者に補助金を出す
・輸送回数削減の工夫や輸送に対する適正な運賃にしてもらう切り札にする
首都圏に限らず、必要なコストに見合った適正な運賃を収受することで物流の持続可能性を確保し、ドライバーの賃金・労働時間の改善を図る必要があります。
物流業界が生産性向上や業務効率化を目的に始めた取り組みがホワイト物流です。
ホワイト物流の目的として、以下が挙げられます。
・輸送の生産性向上
・物流の効率化
・女性やリタイア後のドライバーが働きやすい労働環境の実現
主なホワイト物流の取り組みは以下のとおりです。
・予約受付システム導入による荷待ち時間削減
・運転と荷役作業分離による荷役作業の負担軽減
・パレットやテクノロジーの活用
ホワイト物流に取り組むことで、課題だけでなくSDGsの目標達成にもつなげることができます。
トラックドライバーが深刻化しているため、他の産業よりも労働時間は2割程度長くなるのに対し、賃金水準は水準以下です。
労働時間が長くなる要因には、荷待ち・荷役時間が挙げられます。
そのためホワイト物流の実現は、物流業界と荷主が相互に理解し、協力して取り組むことが必要です。