
運送業の重層下請構造とは、荷主から一次下請けへ仕事が発注され、受注した一次下請けから次の二次下請けへ、さらに三次下請けへと多段階に渡り委託される構造です。
物流や運送などの業界において、様々な問題を引き起こすことが指摘されている構造であるのは、業務が階層的に発注されることで中間事業者が増え、コスト増加や労働環境悪化を招きやすいからといえます。
そこで、運送業の重層下請構造について、役割やリスク、特徴を簡単に紹介します。
物流や運送の業界は、仕事の発注・受注において、重層下請構造であることが特徴です。
重層下請構造とは、元請けが業務を下請けへと委託し、さらに下請け事業者が孫請け事業者へと再度仕事を委託する流れのことです。
元請け事業者が0次請けになり、次の下請け事業者は1次下請け、その次の孫請け事業者は2次下請けと階層が増えます。
物流や運送業界における重層下請構造は、5次下請けにまで及ぶこともあるといわれています。
重層下請構造になりやすい業界は、IT業・広告業・建設業・製造業・運送業です。
どの業界でも、根本的に抱える課題は同じであり、中小企業が数多く存在することや、零細または個人事業主がビジネスに参加できることが共通します。
業務が上層から下層へと段階的に移ることで、下位層の事業者ほど、価格交渉等で不利になりやすいといえます。
運送業の重層下請構造は、下位の下請けになるほど運賃は安くなり、長時間労働や賃金低下を招きやすいといえます。
そのため、労働環境の悪化やコスト増、品質管理や事故の問題が大きくなることが重層下請構造のリスクと考えられるでしょう。
運送業の重層下請構造は、元請けである大手事業者を頂点とした階層的な構造です。
元請けから仕事を委託された中規模物流事業者が一次下請けとなり、以降の階層では小規模な事業者が仕事を請け負います。
下位の階層になるにつれて価格交渉力や営業力は弱くなり、不利な条件で仕事を引き受けなければならない恐れもあります。
また、上層の決済が完了後に報酬が支払われるケースでは、入金までのタイムロスが長く、資金繰りが悪化しやすいといえるでしょう。
運送業の重層下請構造は改善や見直しが必要といえますが、取引の透明性を向上させ、適正な運賃収受と下請け構造是正、技術革新を活用することなどが必要といえます。