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工業地帯などの工場における物流と生産は別のものとされている?

2020.08.03
分類:経営

サプライチェーンの主役となるのはやはりメーカーであり、調達したモノを生産後にユーザーまで届けるという物流について管理するのがサプライチェーンのオーナー=メーカーです。

サプライチェーンの中心といえるのは工場であり、工業地帯などでもさまざまな物流活動が行われています。

中でも高いスキルを求められるのが工場内の物流で、構内物流とも呼ばれており敷地内でオペレーションされています。サプライチェーンの中では生産の一部とした位置付けになり、生産物流の1つです。

しかし工場内での物流は生産とは別だと認識されていることがあり、生産と物流を切り離したマネジメントが実施されていることもあるようです。

物流と生産を分けてマネジメントすることで発生する不都合とは

生産は加工と運搬が繰り返されるため、生産と物流は本来、切っても切れない関係にあります。

もし生産と物流を切り離したマネジメントを行った場合には、生産工程には標準作業書・標準時間が整備されているのに物流にはないという問題が起きることもありますし、生産工程では生産性管理が実施されているのに物流では行われていないといった問題なども発生してしまいます。

物流の重要性に気づくことができていれば、物流を戦略的に活用できるはずなのに、物流を軽視したことで工場全体の効率を低下させていることもあるのです。

そのため工場内の物流と生産は一体であると考えるべきといえるでしょう。

 

物流と生産は一体であるといえる理由

構内物流の主な作業で挙げられるのは供給作業で、生産工程において使用する部品・資材・完成品をおさめる容器や生産指示情報などを届けることです。

加工前部品の多くは、協力会社(サプライヤー)から納入されますが、工場の入口にある納入場に納入されることがほとんどでしょう。

納入場から生産工程までは距離があり、その間を運搬するための行為を供給と呼んでいます。その供給を行う作業者こそが工場内の物流である構内物流と呼ばれています。

納入場から生産工程までの間、担当する作業者が動力車を使って届けているのでしょうが、仮に納入場で生産作業を行うのならこの物流行為は必要ないはずです。

単に加工前部品を受け取るまでの距離が短いか長いかの違いなので、生産行為の一部に含まれる物流作業に変わりはないと考えられます。

 

一体と考えたマネジメントが必要

構内物流と生産はかけ離れた存在ではなく、製造工程の中に含まれる工程の1つが加工であるのと同じように、供給も製造工程の一部と認識できます。

加工を製造部が行っているのなら、構内物流も製造部の作業だと考えることができ、物流と生産を別のものと考える必要はないといえます。

製造も物流も同じレベルでマネジメントすることが大切なので、一体であると考えるべきです。