物流業界で悩みとなっているのは、上昇し続ける物流コストや人手不足などによる、今後のビジョンが見えないということです。
日本の物流情勢について、2030年にはさらにいろいろな問題が起きると予想されていますが、実際にどのようなことが発生すると考えられるのでしょうか。
物流業界では2030年にいろいろな問題が発生すると考えられていますが、特に現在でも深刻化している人手不足について考えたとき、ポイントとなるのは次の3つの項目です。
・日本の人口総数が1億1,600万人程度にまで減少すること
・日本人口の3分の1が高齢者になり生産年齢人口は約58%まで減少すること
・日本人の平均年齢が50.4 歳までに上昇すること
これらはすべて労働力が減少することを意味していますが、それにより経済活動は鈍化し、GDP(国内総生産)は低下してしまいます。
今後人手不足はさらに顕著になると考えられますが、その一方でデジタル技術が普及することで無人化が進み、人材余剰となるといった予想もされています。
2030年になると、物流以外の業界でも40万人が人材余剰になると試算されているほどで、物流業界においては倉庫業務の省人化や無人化が進み、さらにトラックは自動運転が導入され、IoTなどイノベーションの活用が期待されている状況です。
最新技術が物流業界の現場でも多く導入されるようになれば、人手不足は解消されても人々は職を失うことになってしまいます。
日本の人口が減少し高齢化が進んでも、高齢者がいつまでも現役で活躍できる環境を作るために、物流業界でも定年退職年齢の引き上げなどで70歳またはそれ以上まで働き続けることが当たり前になっていくでしょう。
すでに65歳を過ぎても仕事を続けたいと考える方は少なくありませんので、高齢になっても活躍できる現場として物流業界が注目されるようになる可能性はあります。
働くことを希望するのは、経済的な理由だけでなく働き続けることで得ることのできる生活の充実や満足感、社会とのつながりを感じることなどいろいろな理由があるでしょう。
物流業界でも、それぞれの企業が課題としては今行っている業務を見直し、高齢の方に任せることのできる業務を仕分けること、さらに現場で働く従業員やその家族が病気になったときや介護を必要となったときに支援できる制度を設けることなどが必要です。