新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年の世界経済は世界恐慌の再来といわれるほどのマイナス成長になるともいわれています。
世界恐慌といえば、1929年10月にアメリカ・ニューヨーク証券取引所の株価大暴落をきっかけとして、世界を深刻かつ長期的な不況に巻き込んだ大恐慌のことです。
新型コロナウイルス感染症の影響は、この世界恐慌といわれる事態に匹敵する経済危機を及ぼすと考える専門家もおり、物流業界にもどのような影響があるのか懸念されるところといえます。
2020年のG7の成長率について、IMFではマイナス6.2%と予想しています。大恐慌のときのG7は30~31年とマイナス5%台だった後に、32年にはマイナス7.6%を記録しました。
第二次世界大戦後、さらに大幅な落ち込みとなったのですが、今回のコロナショックはこの大恐慌に匹敵する経済危機といえます。
世界貿易機関(WTO)も、コロナショックにより世界貿易量は前年比13~32%減と推計していることから経済への影響はどこまで続くのか先が見えない状況です。
そのような中で、IMFは2020年後半には新型コロナウイルスの世界的流行がようやく終息することを前提に、2021年の世界経済は5.8%プラス成長するシナリオを描いています。
しかし現在は第二波や第三波と呼ばれる状況にあるとされ、長期化することも予想されている状況です。
V字回復は非現実的であり、コロナ前の水準に経済が回復するまで4年はかかるとも考えられています。
コロナショックが世界経済に引き起こすものとは、外出自粛・制限などで需要への影響、さらに供給への影響も大きいといえます。特に食料の供給網の影響により、途上国の食料危機が連鎖してしまうリスクも考えられます。
移動制限が各国で相次ぐことで、農業労働者や輸送トラックドライバー、港湾労働者などを確保することにも支障をきたしています。
地域ごとにインフレが起きれば食料価格が値上がりしてしまうこととなり、世界食糧計画(WFP)も新型コロナウイルス感染症の影響により2020年末まで低・中所得国は前年の2倍となる約2.5億人が深刻な食料不足に陥るとも予想しているほどです。
世界の物流はその9割を海上物流が占めていますが、新型コロナにより船員が下船拒否される事態も起きています。
船員の交代が難しくなっている状況が長期化してしまうと、運航不可となる船が出るようになり供給網も崩壊してしまう可能性もあると考えておくべきでしょう。