物流業界では、現在契約中の仕事よりも高速条件など良く運賃が高い仕事が舞い込んできたとしても、今の契約を解除して新しい取引を行うことが難しいケースも少なくありません。
それには従業員であるドライバーとの関係も大きくかかわっているようですが、それはなぜなのでしょうか。
政府が進めている「働き方改革」に伴って、荷主と運賃や条件などを交渉することが必要となるトラック事業者ですが、それはもはや引き返すことのない片道切符と認識しているようです。
荷主に対し値上げ交渉を再三続けてきたものの、曖昧な対応で値上げしてもらえるのか、そもそも検討してもらえているのかわからないこともあります。
長く取引を続け互いに信頼関係を築いてきたはずなのに、その状況を無視するかのような荷主の姿勢に対しても、三くだり半を突きつけることはしていません。
実際、現在の荷主との契約を終了させたとしても、仕事はいくらでもあるかもしれません。
ただ、ひとまず荷主との仕事は確保しておきたいと考えるのは、従業員との関係があるからのようです。
雇用を継続させているドライバーと、すでに減価償却が終わっているトラックを組みあわせトラックを運行させると、原価を抑えることが可能なため比較的運賃も安くすることができます。
そもそも継続して雇用している高齢のドライバーに、新しい仕事を任せることに不安を感じるなど、煩わしさを感じたくないといった側面もあるのでしょう。
他にも労務費の上昇や燃料価格などを理由に、荷主と運賃の交渉を続けていたものの値上げは無理だと断られてしまったケースもあります。
その中で好条件の別の仕事を紹介されたため、元の荷主から切り替えたいものの解約は3か月前といった約定があるため動くに動けないという場合もあるようです。
ただ、すべてのトラック事業者がこのような状況にあるわけではなく、現在契約中の荷主も含め複数の荷主と交渉を続け、条件や運賃などの見直しに成功し実績を上げている事業者もいます。
成功し実績を上げた事業者は、運賃を上げていくためにもドライバーや従業員とコミュニケーションを大切にしているようです。
ドライバーに対しねぎらいの言葉をかけることができるのは、経営者も儲けが出ていればこそともいえます。ドライバーが頑張ってくれるから儲けを出すことができていると、感謝の気持ちがあるからこそ声かけにつながるのでしょう。
結果としてトラック事業者も潤い、ドライバーとの関係も良好に保てるといった好循環をもたらすことになると考えられます。