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物流会社で風紀を乱す行為を行った従業員は懲戒処分の対象にできる?

2021.03.17
分類:経営

物流会社などで懲戒処分を行うときには、その条件が懲戒処分として妥当か考慮した上で決定することが必要です。

企業の風紀を乱す行為も懲戒処分の例として挙げられますが、具体的にはどのようなケースが該当するのでしょう。

懲戒処分の対象となる事例

懲戒処分を決める基準としては、客観的に合理的な理由と社会通念上相当とされるかで判断します。

個人的な感情を含めないで客観的に倫理を守り行うことが必要ですが、本当にその条件で妥当といえる処分か考慮して決めましょう。

具体的に懲戒処分の対象となる事例には次のようなケースが挙げられます。

私生活での非行

社内の同僚にストーカー行為を行った場合や通勤中の電車内で痴漢行為を行った場合、他の会社の社員と飲酒し警察沙汰のトラブルを起こした場合などです。

業務に関する背任行為

会社の売上金を着服した場合や、同僚や上司などが売上を流用していることを知りながらも報告をしなかった場合、取引先などから個人的に謝礼金などを受け取った場合などが挙げられます。

就業規則違反

就業規則違反に該当するのは、

・業務に関係する経歴の詐称をしていた

2週間以上無断欠勤した

・取引先に向かう途中、運転しながら携帯電話を操作し交通事故を起こした

・社外持ち出し厳禁とされているデータを持ち出した

などが該当します。

風紀を乱す行為

社内で不倫をし、不倫相手となった社員の配偶者から苦情電話が会社に入り業務に支障をきたしている場合や、社内でのセクハラやパワハラ行為などが風紀を乱す行為といえます。

 

懲戒処分は7種類

懲戒処分といっても次のように7つの種類があり、処分が軽い順番では次のとおりです。

・口頭での反省を求める勧告

・書面での反省を求める譴責(けんせき)

・本来支払われる給与から一部を差し引く減給

・解雇ではなく一時的に出勤を停止する出勤停止

・役職などを引き下げる降格

・会社と従業員が話し合いを行い納得の上で解雇する諭旨解雇(ゆしかいこ)

・会社側から一方的に従業員を解雇する懲戒解雇

この中で注意が必要なのは法律で定めのある譴責・減給・降格・懲戒解雇であり、軽い処分よりも重い処分のほうが慎重に対応しなければなりません。

譴責

報告書や始末書を書くことが必要です。トラブルが未解決であれば経緯を報告する経緯報告書が必要であり、解決した後では全体の流れを説明するための報告書・顛末書、解決後に懲戒処分となれば始末書が必要です。

客観的に起きた事実だけを記載し、再発防止策や処分を担当した人の意見なども記しておきましょう。

減給

減給の割合は労働基準法で定めがされており、1回の額は平均賃金の1日の半額分を超え、総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないことになっています。

大幅な減給を望むのなら、数日間出勤停止にすれば法律違反にはならないのでそちらを検討しましょう。

降格

降格をするときの条件も労働契約法で定めがあり、就業規則上の客観的根拠を提示し、その根拠が社会通念上相当であると認められないのなら降格の懲戒処分が無効となるとされています。そのため本人に対して十分に説明を行うことが必要となるでしょう。

懲戒解雇

労働基準法では、業務上の事故や病気での休業期間や前後30日間、女性従業員なら産前産後の休業期間、その30日前後は懲戒解雇不可とされています。

さらに懲戒解雇する30日前には本人に対し通告が必要であり、もし通告していなければ30日分以上の平均賃金の支払いが必要となります。