運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

トラック運送サービスを今後も続けるためには荷主と運送事業者の協力が重要

2021.04.14
分類:経営

20191月に国土交通省がまとめた「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」は、法令順守しながらトラック運送機能を持続して確保する上で発生するコストについて、荷主と運送事業者の共通理解を促すためのものです。

トラックドライバーは現在高齢化が進み、若い働き手がおらず労働力不足の状態です。いよいよ危機的な状況を迎えつつあるトラック運送がですが、トラック運賃などが適正な範囲で設定され、契約されていなければさらに窮地に追い込まれることとなります。

そこで、今回のガイドラインはなぜ設けられたのか把握し、荷主と運送事業者が納得した状態で契約できるようにしていきましょう。

なぜ運送会社は運賃値上げを要請する事態に?

運送会社がトラック運賃の値上げを要請する背景として、まずトラックドライバーの給与をアップさせる上での原資が必要だからです。

これまでのトラック運送は過当競争により、荷主と運送会社との交渉が交わされるたびに運賃が下がっていたといえるでしょう。

全国の運送事業者数は約63千という数のため、できるだけ安い価格でサービスを提供しなければ契約を打ち切られてしまう…と、競争が激化してしまうのは仕方のないことでしょう。

しかしトラックドライバーの高齢化が進み、現在働いているドライバーが引退した後の担い手も増えないままで、慢性的な人手不足に悩まされています。

従来のトラックドライバーといえば、1千万円稼ぐ方もいるなど働けば働くほど稼げるというイメージが強かったですが、最近では労働時間なども歯止めがかかり給与が増えない状況です。

しかし長距離トラックなどは長時間労働でありながら、給与が十分に見合うといえないと離職するドライバーも増え、若い世代からは敬遠されることとなってしまいました。

 

下請運送会社も同様に運賃を上げざるを得ない状況

そして下請業者に対する支払いも増え、元請となる運送会社同様に、下請運送会社も運賃を上げざるを得ない状況です。その結果、荷主に対し運賃の値上げを要求するしかなくなっているといえるでしょう。

トラック運送は供給者と需要者の強弱が大きく、荷主の立場が強いためしぶしぶ要求を受け入れてきた運送会社もあります。

しかしこのままその状況が続けば、トラック運送そのものが続かなくなってしまうため、事態を重くみた国がガイドラインを設けたと考えられます。

 

荷主と運送事業者の協力が不可欠

メインとなるのはトラックドライバーの労働時間で、労務管理は運送会社が主体となって行いますが、荷主の協力や配慮も欠かせません。ガイドラインでもしっかりとその内容が取り上げられているため、今後は荷主と運送事業者が一体となり、ドライバーの労働時間他、法令順守を遂行することが必要といえます。