全日本トラック協会が公表している「日本のトラック輸送産業現状と課題2020」などを見ても、トラック運送業の営業収入は継続して伸びていることがわかります。
物流の貨物1件あたりの量は少なくなっていますが、荷物の小口化が進む一方で、物流件数は増加傾向にある状況です。
しかし思いもよらなかった新型コロナウイルス感染流行により、経済は低迷しその打撃を受け売上が激減してしまった運送事業者もいます。
その一方、自宅で過ごす方が増えたことにより宅配の需要も高まり、インターネット通販の普及で宅配の需要が高まったことから右肩上がりで成長している運送事業者もいるようです。
運送業界は今いくつかの問題を抱えていますが、過酷な労働環境や燃料の高騰化などの状況がその背景にあります。ドライバー不足や競合他社との過当競争により利益率をひっ迫するなど、早急に改善していかなければならない問題といえます。それぞれどのような状況なのか、確認しておきましょう。
トラックドライバーは長時間労働になりやすく、心身に負荷がかかりやすい労働環境で働いています。
荷待ち時間や道路の渋滞などが背景にありますが、それに加え長距離を担当するドライバーは早朝や深夜の就業も発生し不規則な労働時間です。
長い拘束時間と不規則な労働時間の上、届け先が不在であれば再配達が必要になるなど増々ドライバーへの負担を大きくさせている状況といえます。
過酷な労働環境にあるイメージが強いトラックドライバーとして、働きたいと希望する人材も減少しています。インターネット通販が浸透したため、小口の荷物を運送する需要は拡大中ですが、人手不足のまま仕事増加となり今働いているドライバーへの負担も大きくなっているといえます。
しかし少子高齢化の流れもあって、若手のドライバーは増えることなく、既存のドライバーの高齢化が止まりません。
人手不足に加え、労働者の年齢バランス悪化も問題となっている状況です。
事業用トラックはガソリンではなく軽油で走るディーゼル車が多いため、軽油の値段が高騰すればコストがかかり大きなダメージです。
新型コロナウイルス感染拡大によって原油価格は急激に下落しましたが、社会情勢に左右される傾向が強いため、気をぬくことはできません。
燃料が高騰化すれば、採算を取るため運送料金は値上げしなければなりません。しかし荷主のほうが立場は強く、交渉に応じてもらえるとは限らない状況です。
運送業界の参入障壁はそれほど高くない反面、競争は激化しやすいといえます。
競合他社が多く存在するため、差別化を図ろうとサービスを強化したり料金を値引きしたりなど仕事を確保しようとした結果、利益率がひっ迫するケースも見られる状況です。