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首都圏の運送業は厳しい経営が続いている理由とその背景とは?

2021.08.03
分類:経営

首都圏の運送業は厳しい経営が続いているといえますが、その背景には運賃下落以外にも、運送・労務・社会保険料などのコストが増えていることが関係しているといえます。

取引先との運賃交渉は、荷主・元請けと話し合いで決めているという運送事業者が6割程度ですが、残りの多くは荷主・元請け主導で決まっています。

運賃が上がらない中で燃料費は高騰し、さらに賃金や労務コストが増えてしまうだけでなく、消費税増税や社会保険料の負担増など収益を悪化させるコスト負担ばかり増えています。

コスト増とドライバー不足で経営環境は悪化するばかり

首都圏の運送事業者が頭を悩ませているのは、コストが増えていること以外にもドライバー不足の問題が解消されないことが挙げられます。

ドライバー不足を解消させようと、賃金や労働条件を見直し・改善させることに取り組む事業者もありますし、高齢者・女性・外国人などを労働者として雇用することを検討しているケースもあります。

しかし賃金や労働条件を改善させるには収益も今より悪化させるわけにはいかず、むしろ改善させる必要があるため、運賃引き上げを荷主や元請けに申し入れるといったことも行われているようです。

 

荷主の優越的地位濫用で悩む運送事業者も少なくない

荷主と元請け会社との取引において、

運送と関係ない商品やサービスを押し付けられてしまう

無理な着時間の指定や過積載を取引条件にされる

何の説明もなく一方的に運賃カットされる

といった一方的な要望を受け入れなければならないなど、荷主の優越的地位が濫用されていることも少なくないようです。

 

コロナ禍でさらにトラック産業は厳しい状況に

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、トラック産業は経営悪化の経営にあるといわれていますが、収益を悪化させているのは仕事量そのものが減少していることも関係しています。

コロナ禍で運賃が悪化し、仕事量も減少してしまうこととなり、経営を圧迫している状態です。何とか雇用確保しようと、経営対策に雇用調整助成金など活用する企業も増えるなど企業努力も見られます。

それでも深刻化する人手不足の現状を打開するには、賃金・労働条件を改善させることが前提となります。しかし厳しい経営環境にある中で、労働者の賃金や労働条件を改善させることは容易とはいえません。

健全な経営を実現させるために必要なことと理解はできていても、実践できる環境が整わないことに憤りを感じている運送事業者も少なくないのが減少です。