国土交通省が2020年6月に公布した「改正地域公共交通活性化再生法」が施行され、煩雑な手続きが必要だった貨客運送事業許可が取得しやすくなり、地方の乗り合いバスや鉄道事業者の悩みを解消することとなりました。
また、物流総合効率化法(物効法)の一部も改正されており、2021年度の財政融資活用で地方の自動車ターミナル・共同輸送・中継輸送拠点・陸上・海上輸送を結ぶ物流拠点などの整備に対する支援も行われるため輸送・物流が円滑化されると考えられるでしょう。
地方では人口が減少傾向にあるため、バスや鉄道など公共交通サービスに対する需要もだんだんと縮小されています。
それによる経営悪化やドライバー不足の問題が解消できないことに悩む企業も少なくありません。
そこで国土交通省は、公共交通ネットワークの安定・維持を図ることと、移動手段を確保することを目的として、地域公共交通活性化再生法を改正することとしたようです。
地域公共交通活性化再生法は、自治体が「地域公共交通計画」を作成し、バス・鉄道・タクシーなど交通事業者や地域関係者が協議を行って、地域の輸送資源をフル活用することで安定した利便性の高い運送サービスを支援するものです。計画を作成する自治体に計画作成経費が補助されます。
物流においても、バスや鉄道など旅客運送事業者が交通網を活用しながら収益性を高めることができるように、貨客混載事業を促進することを図っていきます。
旅客運送事業者が貨客混載を行うときには許可申請が必要ですが、この窓口がワンストップ化されるため迅速な手続きが可能です。
地域公共交通のネットワークを元気にすることを目的として、旅客運送事業者も貨客混載での貨物運送を行いやすくなることを狙っているようです。
許可手続き上のメリットがあるものの補助金の交付は行わないのは、法改正以前から実施されている貨客混載に不利益が生じないためとされています。
そして今回の法改正と併せて、トラック輸送に関する地方部の物流施設整備にも、資金の貸付が可能となるように法律の一部が改正されています。
地方幹線と都市内輸送を結ぶ自動車ターミナルや、ダブル連結トラックに対応した共同輸送拠点などを整備することに対する支援も行われます。
効率的な長距離輸送に欠かせない中継輸送拠点や、陸上輸送・海上輸送などを結節する物流拠点の整備なども支援の対象とし、物流に対する支援も拡大されていくことになります。