コロナ禍で経済活動が鈍化し、外食産業や観光関連産業は深刻な影響を受けていますが、運送業界も他人事ではありません。
これまでも深刻なドライバー不足が指摘されていた運送業界ですが、一部はドライバー不足が緩和されたといった声も聞かれるようになりました。
ただしこれは、仕事そのものが減ったことでドライバーを確保しなくてもよい状況になっただけであり、人員そのものは増えていないともいわれています。
そもそも運送業界では長時間労働の削減などドライバーの労働環境を改善させ、人材不足問題を解消しようと取り組んではいるものの、プライベート時間と仕事の両立が難しいと辞めてしまう人が後を絶たない状況です。
仕事を辞めたドライバーが同業他社への流出するケースでは、労働時間管理はなく長時間労働も当たり前で、歩合制が導入されているので収入が増えやすいことが多いようです。
労働時間管理を徹底すれば収入は限られるため、本来稼ぎたくてドライバーを目指したのに、稼ぐことができなければプライベート時間は充実しないと他社に流出してしまうのでしょう。
会社の将来を担うと考えられる若いドライバーが、競合といえる他社に流れ込んでいくことは阻止したいところです。
法律を正しく守り、適切に取り組みなど実施している運送業者が先に疲弊し、基準や法律を守らない悪質な事業者が若い働き手を獲得できることは誰も納得できる状況とはいえません。
交通の事情や手待ちなど、管理が難しいドライバーの労働時間をどのように管理・改善していくかが重要となるでしょう。
一般的な運送ドライバーの拘束時間は、1日あたり13時間前後となっていますが、長距離を走るドライバーの場合には16時間に及ぶこともあります。
これを他業界で拘束された場合と比べたときにはかなり長時間での拘束時間となりますが、1日あたり13時間働き月収25万円受け取っているドライバーがいたとすると、その方の給料を時給換算すれば900円未満という計算です。
それなら他業界でアルバイトとして働いたほうが、楽して稼げるのではないかと人員が流出してしまうケースもあります。
中堅規模未満の運送業者の場合、勤務時間が16時間前後になることも少なくないため、さらに時給換算の金額が低くなることもあるようです。
プライベート時間も充実させることができる業界と感じてもらうためには、稼げない業種というレッテルをはられてしまわないような賃金の見直しが課題となるといえるでしょう。