運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が在宅勤務を導入するときに支給するテレワーク手当の扱い

2021.09.15
分類:経営

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、どの業種でも在宅勤務が推奨されていますが、運送業でもテレワーク手当などを従業員に支払い在宅による勤務を始めているところもあります。

在宅勤務により通勤に時間をかける必要がなくなり通勤費も削減されるので、体力・精神面での負担だけでなくコスト削減にもつながります。

ただ、在宅勤務をする従業員の自宅に通信設備やネットワーク環境が備わっていないとき、オフィスと同様のパフォーマンスが発揮できなくなるため、様々な設備を準備しなければなりません。

その負担費用としてテレワーク手当を支給する運送業者などもあるようですが、具体的にどのような費用を手当として支払うことになります。

テレワークを導入することで発生する問題点

実際にテレワーク中の従業員が課題だと感じているのはネットワーク環境の設備であり、初期投資が必要なことです。

Wi-Fi機器を設置したりデスクやいすなど仕事スペースを確保したり、自宅の環境を仕事でも使用できるように整備するためにはある程度のまとまったお金が必要になります。

さらに自宅で仕事をする時間が長くなれば、通信費や光熱費など維持費もかさむため、短期であれば負担は少なくて済むものの長期に及べば従業員にとっては大きな負担となると考えられます。

特に新型コロナウイルス感染症はいつ収束するのか先が見えない状態のため、初期投資と維持費の負担をテレワーク手当として支給する企業が増えているといえます。

 

交通費支給廃止による経費削減

会社に出社する必要がなくなれば、通勤で発生する交通費を削減することができます。

企業側は交通費を廃止し、そのお金を原資としてテレワーク手当に充てれば、在宅勤務に新しく資金を準備しなくてもよいでしょう。

注意したいのは、テレワークに関わる費用負担や手当について、導入する前に明確なルールをつくっておく必要があることです。

従業員に対し説明も行うことが必要ですが、通勤手当を廃止して実費精算に切り替えるときなどは、企業はコスト削減が見込まれても従業員は社会保険料や所得税に影響することが懸念されます。

新型コロナウイルス感染拡大防止の一時的な対応として、暫定的に通勤手当を変更するのなら就労規則まで改定する企業は少ないといえます。

ただ、テレワーク手当をどのように支給するのか、清算についてルールを決め、規則に落とし込んでおいたほうが円滑に運営できるでしょう。

交通費は非課税でもテレワーク手当は?

交通費は税金がかからない非課税の扱いですが、テレワーク手当の場合には課税対象です。

これまで交通費として支給していた分をテレワーク手当に充てると、本来非課税だった分が課税対象となり、従業員の手取り額は減収となります。

ただ、交通費は実費補填でもテレワーク手当は使途が従業員に任されている場合、必ずしも減収になると言い切れないでしょう。