運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が資産管理でより大切にしたいのは知的財産の管理

2021.10.14
分類:経営

知的資産とは一定の価値が認められる知的創作活動の成果であり、特許・技術など目に見えない資産のことですが、運送業の資産管理においても重要な部分です。

運送業が資産管理で大切にしたい知的財産は、商標権や意匠権などの権利や特許・技術だけではありません。

無形の強みといえる知的資産

中小企業の保有する知的資産として挙げられるのは、主に次の3種類です。

①人的資産

経営者や従業員など、人に依拠するのが人的資産です。

経験が豊富で優秀な運行管理者や無事故無違反で表彰されたドライバーなどが働いていることや、経営者の計数管理能力が高さなど該当しますが、人材が退職したときには社外に流出してしまう知的資産といえます。

② 構造資産

企業が構造的に保有する知的資産が構造資産で、会社に根付いている強み部分です。

仮に従業員に入れ替わりがあっても、本質的には変わることのない資産であり、たとえば安全教育の社内制度・Gマーク取得・荷捌きについてのノウハウ・ITシステム温度管理輸送マニュアルの設定などが該当します。

なお、特許権・意匠権・商標権・著作権といった知的財産権は構造資産の一部に含まれます。

③ 関係資産

会社の対外関係に付随した知的資産が関係資産で、

燃油等供給業者

協力会社

顧客

トラック協会

などと良好な関係を築くことや支援制度を活用することなどが該当します。

 

知的財産をアピールできる戦略を

中小トラック運送業者の場合、会社に根付いた強みを示す構造資産を多く保有していることが多いですが、これは社歴が長いからといえます。

まだ創業したばかりの若い企業になると、個人の強みといえる人的資産に対する依存割合が高くなりやすい傾向が見られます。

本来、資産といえば会計上の貸借対照表の資産の部にある、現預金・売掛金・商品・建物・機械装置・車両・土地などのことで、知的資産を思い浮かべる方は少ないでしょう。

しかしこれらは目に見える現物財産であり、対する知的資産は貸借対照表には例外を除いて計上されません。

売上高・利益・純資産・従業員数・車両数などを、企業評価の指標として用いることは多いですが、いずれも数値で見える部分のため時系列評価や他社比較が容易だからです。

しかしいずれも過去の数値を把握できるだけで、将来の確認や結果までの経緯は確認できません。

投資家や金融機関など銀行、顧客や入社を希望する方などは、いずれもこれまでの成績だけでなく会社の将来性を知りたいと考えています。

そのためにも知的資産をアピールし、活かすことができる戦略を立てることが必要です。