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運送会社が従業員と雇用に関して契約するときの形態と注意点

2021.12.01
分類:経営

運送会社によっては、従業員を直接雇用せず外部業者に委託するといったケースも見られますが、これは直接雇用の労働管理などの負担を軽減させたいという考えが大きいからでしょう。

従業員と結んだ契約が雇用契約と判断できる場合、労働基準法や労働契約法、労働関係法が適用されるため、労働時間や労働条件など従業員の不利益にならないように注意しなければなりません。

それに対し、従業員との間で結んだ契約が請負契約だった場合などは、労働法などは適用されませんので、契約関係は労務管理を左右するほど重要な問題と留意しておく必要があります。

中には従業員と結んだ契約が業務委託契約としていたはずが、あくまでも形式上のもので実質は雇用契約と同じというケースもあり、この場合には従業員との契約の法的性質について争いが起きることもあるため十分に注意しましょう。

労務利用形態の種類とその内容

運送会社など企業と従業員で結ぶ契約関係は、次のように他人の労務利用形態の種類を把握するとわかりやすいといえます。

雇用契約

労働者を使用する形態であり、雇用と使用が一致する場合の契約です。労働者は労働を提供し、雇用主はその対価となる賃金を支払います。

労働者派遣契約

派遣元事業主が雇用している労働者を、派遣先の指揮命令を受け派遣先のために労働させる形態であり、雇用と使用が分離していることが特徴です。

請負契約

注文者の注文に従って、受注者(請負人)の裁量と責任のもとで雇用する労働者により仕事を完成させ、製品を納入したり役務処理を完了させたりする形態です。

出向

雇用契約を維持したまま、対象となる社員を業務命令により、自社の子会社や関連会社に異動させ就労させる形態です。

 

労働者供給事業とは?

自己の管理下にある労働者を、他人の指揮命令のもとで他人に使用させることで利益を得る形態を労働供給事業といいます。

この労働者供給では、労働者を不当に支配し中間マージンなどの搾取など横行していたことから、職業安定法第44条で労働者供給事業やこの事業による労働者を受け入れ指揮・命令することは禁止しています。

労働者供給事業が認められるのは、営利を目的とせず組合員の賃金や労働条件が向上することを目的としている労働組合などが、無料で行うケースなどです。

雇用と使用が分離する雇用形態の場合、労働者を保護する観点から不適正な環境になるリスクが高いと判断されるため、原則禁止されていると知っておきましょう。