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運送会社が従業員のリストラを決断するとき留意しておきたいこととは?

2022.03.04
分類:経営

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、厳しい経営状態が続いている運送会社などは、従業員のリストラに乗り出さなければならないこともあるでしょう。

一般的に「リストラ」と呼ばれている行為は「整理解雇」のことですが、どのようなケースでも可能というわけではありません。

そこで、「リストラ」といえる整理解雇を行うときには、何に留意しておくべきなのか説明します。

リストラとは整理解雇のこと

整理解雇とは、会社が経営不振に陥ったときの打開として、余剰の人員を削減することを目的に行う解雇です。

経営困難や経営不振などを理由とし、危機から脱するため行う危機回避型と、経営困難に陥るよりも前に競争力強化など目的として行う戦略的合理化型があります。

どちらを行う場合でも、多数の労働者に大きな影響を及ぼすこととなるため、労働契約法の適用を受けて正当と認められなければ無効となるため注意しましょう。

 

整理解雇するときに認められる要件

整理解雇を実施することが認められる要件は、主に次に挙げる4つです。

従来までは、この4つの条件全てを満たさなければ、解雇権濫用として無効扱いになっていました。

しかし昨今では、4つの条件を総合的に考慮し、個別で有効性が判断される傾向も見られます。

ただ、いずれか1つでも欠ける場合には、無効と判断されやすいことは留意しておきましょう。

人員削減の必要性

このままでは倒産してしまうといった状態ではなくても、赤字など高度に経営上困難な事情があれば認められると考えられます。

整理解雇の手段としての必要性

解雇を行う前に、採用募集を停止することや、配転・出向・一時帰休・希望退職を募集するといった他の手段で回避する努力が必要とされます。

この解雇回避努力義務を怠った場合には、整理解雇は無効とされます。

なお、職種の専門性が高く、配置転換など難しいという場合には、例外的に緩和されるケースもあると考えられるでしょう。

被解雇者選定の妥当性

1人または複数人を整理解雇することがやむを得ない状況でも、客観的・合理的な基準を公正に適用させ、被解雇者を選ばなければなりません。

基準を設定せずに整理解雇した場合や、主観的で合理性のない基準で整理解雇をした場合には、無効とされる可能性が高いといえるでしょう。

手続の妥当性

労働者には、なぜ整理解雇が必要になったのか、状況を説明し了解を求め、人員整理の時期・規模・方法など納得を得ることができる努力が必要です。

要求されたのに経理関係資料など公開せず、事業を閉鎖する理由や必要性など客観的資料を用いた説明もされなかったときには、手続の妥当性に欠くと判断される可能性があるといえるでしょう。