物流業務に含まれるそれぞれの工程には、必ず何らかのコストが発生するといえます。
売上を少しでも増やすためには、物流コストを圧縮することが必要ですが、人手不足などの影響で上昇傾向にあります。
そこで、物流・運送会社にとって人件費は物流コストとして考えるべきか、削減するためのポイントについて解説していきます。
物流全般にかかる費用を「物流コスト」といいますが、モノを供給する側から需要者に対し移動するときかかる費用すべてです。
社内システムや人件費など「社内物流コスト」と、外注先に対し支払う運送費や倉庫・設備の賃料などの「物流コスト」を合わせたものが物流コストといえるでしょう。
主に運送費だけを物流コストと考えず、システムや人などにかかる費用も含まれることがポイントです。
物流コストは大きく次の4つの要素で構成されることになりますので、それぞれどのような費用が含まれるのか確認しておきましょう。
商品を販売したときに必要となる運賃であり、チャーター車両費用・宅配便の配送料・自社トラックのガソリンや減価償却費などです。
荷役作業にかかる費用であり、荷物の入出庫・運搬・積付け・仕分け・ピッキングなどにかかる費用のことです。
商品を取引先に納品するまで、倉庫などで品質や数量を保持するときにかかる費用です。
商品を置く倉庫の賃料や、自動倉庫の管理費・火災保険なども含まれます。
物流システムや受発注システムなどを導入したり運用したりするときの費用が管理費であり、物流担当者・作業員・営業担当などの給与が人件費です。
売上全体に占める物流コストの割合を「物流コスト比率」といいますが、日本ロジスティクスシステム協会が調査した「物流コスト調査報告書」を確認すると2020年度の物流コスト比率の全業種平均は5.38%とされています。
この調査に参加した企業の8割以上が、物流に関する何らかの値上げを求められており、値上げ要請されたコストの種類で多かったのは「輸送費」と「荷役費」だったようです。
物流業界の人材不足深刻化により、トラックの運賃や荷役費が値上がりしていることにより、物流コスト比率が増加しているのではないかと考えられています。