運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送収入はいつ計上するべき?ミスなく会計処理するためのポイント

2022.05.22
分類:経営

運送業の運送収入額は、原則、対象となる運送に係る役務提供の完了日の属する事業年度の益金へ算入することとなります。

ただ、運送契約の種類・性質・内容などによって、運送収入の計上時期や変更することができます。

通常と異なる運送収入の計上時期や方法が認められるケース

運送契約にも種類があり、さらに性質や内容などもいろいろです。

そこで、次のような方法のうち、運送収入に係る収益計上基準が合理的で、その収益計上を継続しているときには、次のような計上時期や方法が認められます。

・乗車券・乗船券・搭乗券などの発売日(自動販売機による販売は集金日)に、発売に係る運送収入額を収益計上する

・船舶・航空機などが積地出発日に、船舶・航空機などに積載した貨物または乗客に係る運送収入額を収益計上する

・船舶が発港地を出発し帰港地に到着するまでの一の航海に通常かかる期間がおおむね4か月以内のときは、一の航海に係る運送収入額を完了日に収益計上する

・一の運送にかかる期間または運送を取り決めた期間経過に応じて、日割または月割などで運送収入額を収益計上する

・運送業を営む2以上の法人が、運賃の交互計算または共同計算を行っているとき、それぞれの法人が配分を受けるべき収益額を配分確定日に収益計上する

法人税では、運送業の行う運送も一種の請負のため、運送収入(運賃)は運送に係る役務提供完了時点で収益計上することとしていました。

しかし運送業の性格から見たとき、多くは一般に同質のサービスを反復・継続して、さらに大量に提供するものです。

収益計上に対し厳格な完了基準を適用するように求めても、企業の損益計算に与える影響は大きいとはいえません。

そこで、収入に係る収益計上基準として、運送契約の種類・性質・内容などに応じて合理的と認められる基準を選び継続的に適用させる場合には、幅広く認めることとされるようになっています。

 

物流業における収益認識

物流業では、次の5つの段階で構成される収益認識の基本原則が採用されています。

①顧客契約を識別する(収益認識基準の適用対象になる契約か判断する)

②契約における履行義務の識別を行う(契約に複数の財やサービスが含まれるとき個別に会計処理するべきものを決める)

③取引価格を算定する(財またはサービスと交換して受け取る権利を得る契約対価合計を算定する)

④取引価格を契約における履行義務へと配分する(契約対価合計を個別に会計処理する必要のある財またはサービスに配分する)

⑤企業が履行義務を充足するときや充足するにつれて収益を認識する(財またはサービスに対する支配を顧客移転したとき収益を認識する)