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EC物流拡大と配送サービス拡充のバランスの崩れで運送にかかる手数料が大幅値上げに?

2022.05.24
分類:経営

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークや巣籠もり需要が高まり、ECサイトへのニーズも大きくなっています。

特に物販ECは前年比2割増という需要ですが、ECサイトで販売された商品を運ぶドライバー不足は解消されていません。

EC拡大と配送サービスの拡充のバランスが崩れれば、物流問題で市場需要を補うことは難しくなるでしょう。

配送を担う運送業者やドライバーの負担を重くなれば、従来までの便利な輸送サービスは提供できなくなると考えられるため、手数料など値上げに踏み切る配送業者なども増えてきました。

すでに配送業者は一斉値上げに踏み切っている

ECサイトの需要が拡大しているものの、対応する人材は不足したままです。

人材不足を解消するために、2019年秋、ついに大手配送業者であるヤマト運輸・佐川急便・日本郵便などは送料の値上げを実施しました。

この送料の値上げにより、大打撃を受けた通販サイトも少なくありません。

何をECで販売するかによりますが、商品が売れてから長さや重さを測り配送が必要という業種などの場合、重量のあるものの運賃は割高となるため配送費の値上げを自社で賄いきれないケースもあるようです。

これまではECサイトで業績を何とか伸ばしてきたという企業なども、送料の値上げによる社会インフラ問題が、事業継続の大きな障壁となってしまったといえます。

 

配送コスト高騰はEC業者の課題

送料含む配送コストを課題としている業者は多く、サイト運営で赤字に転落してしまった企業もあります。

単なる配送コスト上昇だけでなく、物流ネットワークの稼働が機能しなくなったことによる機会損失も影響していると考えられるでしょう。

運賃の値上げで取引1件あたりの配送コストが上昇すれば、事業継続の死活問題となりかねない企業は少なくありません。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リモートワーク推奨や巣ごもり需要増大などがみられるようになり、EC需要は現在でもさらに高まっています。

しかし運送・物流業界は人手不足の問題が解決されておらず、むしろ深刻化しており、問題が解消されなければさらに送料値上げに踏み切る配送業者も出てくる可能性もあります。

コロナ禍で様々な業種や業界が打撃を受けることとなり、コロナ倒産なども多く発生していますが、インターネットを使った販売などは好調と見られがちな中で、実際には厳しい状況に強いられている企業もあるといえるでしょう。