野菜産地が発展することに大きく貢献してきたといえる物流システムはだんだんと変化しつつあります。
従来までの野菜物流は、高速道路網の下でのトラック輸送に依存してきました。しかし原油価格の高騰や燃油価格の上昇などの影響を受けやすく、さらにトラックによる交通事故が多発したことをきっかけとし、過積載やドライバーの労働時間の規制が厳格化されたことによる輸送コスト上昇などから、輸送トラックを確保することも難しいと考えられるようになったからです。
実際、トラックドライバーも不足しており、鉄道や船舶など大量輸送が可能となる手段へとシフトされる動きも見られます。
トラックなどで行われている貨物輸送を環境負荷が小さい鉄道や船舶に転換することをモーダルシフトといいますが、あくまでも大量輸送が前提となるため、大型産地なら取り組みやすくても規模が小さく出荷量が限られている組織では取り組みにくいといえます。
そこで注目されつつあるのが共同物流で、モーダルシフトでは対応できない出荷量の出荷組織でも対応できる新たな物流といえるでしょう。
共同物流なら多数の方により構成されることになるので、効果は大きく広がる可能性がある反面、多様な利害を有する構成員同士を調整することは簡単なことではありません。
野菜の流通が妨げられないように、今直面している物流への現状を踏まえれば、共同物流を用いることは有効といえます。
これまで共同物流といえば、日用雑貨や化粧品などがそのお手本といわれていましたが、今後はさらに多岐に渡り活用されるようになるのかもしれません。
生産性向上や業務の効率性を目指す色々な産業の問題を解決するために、出荷組織と流通業者、運送業者など共同物流に関係する者たちが協調し合い、協力することは欠かせないといえるでしょう。
北海道から九州など、長距離を運ぶ上でトラックの内の温度がたった1度違うだけでも鮮度に違いが生じることがあります。
また、野菜が入ったダンボールをトラック内の入り口と奥のどちらに積むのか、さらにどのような積み重ね方法でどの位置に置くのかなどにより、野菜の種類によっては状態や鮮度に差が出ることもあるのです。
さらに野菜同士には相性もあり、大量のガスを放出することで他の野菜などの成熟や老化を早めるというケースもあるのです。そのようなデリケートな野菜だからこそ、運搬には想像以上に気を使うべきであると理解しておく必要があるでしょう。