厚生労働省が公表している「過労死等の労災補償状況」を確認すると、道路貨物運送業では脳・心臓疾患による過労死などが多く起きています。
そこで、運送業ではなぜ過労による労災が起きやすいのか、その背景について説明します。
道路貨物運送業で過労死が多く発生している事態を受け、全国トラック協会では平成30年3月に「過労死等防止計画」を策定しています。
この計画では、労働時間を適切に管理することで長時間労働を削減し、ドライバーの健康管理を強化することが目的です。
脳や心臓の疾患による過労死発症を、2022年度までに20%削減することなどが目標として掲げられていました。
しかし長時間労働削減には、運送業者だけでなく荷主にも協力してもらうことが必要であり、すぐに取り組みを進めることは難しいといったケースも少なくありません。
そこで、すぐに取り組みを進めることができるように、その方向性などを示すリーフレットを作成し、健康管理対策を中心とする緊急対策を運送業者が実行していくことを勧めています。
下記のリンクを参考に、一読しておくとよいでしょう。
「今すぐ取り組もう!緊急対策~トラック運送業界の過労死等防止計画~」
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2021/11/karoushi_kinkyu_a4.pdf
トラックドライバーが過労になる理由は、主に次の5つが考えられます。
・深刻な人材不足の状態でドライバー一人ひとりの負担が重い
・労働時間が長時間に渡る
・休日が少ない・取りにくい
・手積み・手下ろし作業が過酷
・退職したくてもやめさせてもらえない
就労環境を改善させることが重要であり、さらに過労を疑うサインを見逃さないことも必要となります。
過労になると心身に大きな負担がかかることになり、様々な症状が見られるようになるため、特にドライバーが次のようなサインを訴えたときには注意が必要です。
・疲れが長時間取れない状態にある
・身体的・精神的にストレスを感じている
・体調を崩しがちである
ドライバーの健康管理を徹底して行い、体調に変調が見られるときにはすぐに申告してもらい、休みを取ってもらうことも必要となるでしょう。
人手不足で厳しい状況にあっても、過労は最悪の場合、死に至ることもあると留意しておくべきです。
乗務前と乗務後で血圧を測ることも、ドライバーの体調に変調がないか確認する方法として検討するようにしてください。