社内の不正や不祥事などについて、社外へと暴露する内部告発は運送業にかかわらず増加傾向にあるといえます。
これは、コンプライアンス経営が社会の流れとなったからですが、そもそも違法行為や不祥事などは業界で生き残ることができない行為であると認識しておくべきです。
内部告発を防ぐ前に、違法な行為は行わずコンプライアンス経営に取り組むことが重要ですが、仮にドライバーの違法労働などが労働基準監督署により発覚すれば、後々大きな問題へと発展しかねません。
企業としての社会的信用を失墜させないためにも、特にトライバーの長時間労働は改善させていくようにしましょう。
運送業のドライバーの労働時間については、改善基準告示で拘束される時間や休息をとる時間の基準が設けられています。
そのためこの基準を超えた労働があれば、事業者は行政処分の対象になる可能性があることから、ドライバーの長時間労働について十分に注意しなければなりません。
違法な長時間労働を防ぐためにも運送事業者だけでなく荷主の協力を得ることも欠かせませんが、そもそも荷主が違法な労働になる原因をつくっていないか、法令違反となる依頼をしていないか見直すことが必要です。
国土交通省も、運送会社が法令違反してしまう背景に荷主の無理な要求など関与がないか、その判断基準として「荷主勧告制度」を平成29年から運用開始し、令和元年に「貨物自動車運送事業法」を改正しました。
仮に荷主の関与が認められれば、公表されるだけでなく公正取引委員会に通知されたことも発表されるため、しっかりと協力を促すようにしましょう。
ドライバーの長時間労働を起こす違反原因につながりやすい行為として、主に次の4つなどが挙げられます。
・荷主の都合で恒常的に長時間の荷待ちを発生させている
・適切な運行ではとても間に合わない非合理な到着時間が設定されている
・天候悪化などやむを得ない事情による遅延にもペナルティを課す
・積み込む直前になって貨物量を増やす指示を行う
無理な長時間労働につながる行為や、長時間労働以外にも法令違反となる原因と考えられる行為は勧告の対象になる可能性があります。
「荷主」として、
・発荷主と着荷主
・元請け事業者
も勧告の対象ですので、法令違反に該当する指示がないか改めて確認するようにしてみましょう。