運送業界は現在、人手が不足している状況の中で仕事が増えているため、不況とはいえないものの様々な問題を抱えています。
少子高齢化の流れも関係し、若手ドライバー数の減少と既存のドライバー高齢化で、今後はさらに人手不足が深刻になると考えられるでしょう。
不況で苦しむ産業は様々ですが、物流・運送業界では小口配送が増えたのに対し、ドライバーが足りていないことが問題とされています。
対個人配送は増加傾向にあるのなら、物流・運送業界が活気づいていく大きなチャンスといえる状況であるのに、労働者それぞれの負担は大きくなる一方です。
そこで、運送が抱える?物流クライシスを含む今後の課題について簡単に解説していきます。製造者から消費者に対し物を届ける物流。
ECサイト需要拡大により荷物取扱量は急増しているものの、物流のキャパシティーは追い付いていません。
まさに物流クライシス=物流危機といえる状況であり、従来のように企業間の大口運送メインだった時代から、人的リソース消費に直結する小口配送の時代に変わっていることを自覚する必要があります。
さらに再配達や時間指定などの制限で、負担はさらに増加し続けています。
物流市場の規模は拡大中であるのに対し、ドライバーなど物流の現場の担い手は減少傾向にあることが問題です。
人材不足で従業員一人あたりの負担は増え、長時間労働につながれば定着率も低下してしまいます。
2024年4月からは、時間外労働に対する年間960時間の罰則付き上限規制が適用となります。
ドライバーの労働時間に罰則付き上限が設定されれば、会社の利益減少だけでなくドライバーの収入減少の問題も起き、荷主側も運賃を引き上げる可能性があります。
時間外労働時間の上限規制はすでに大企業では2019年4月から、中小企業でも2020年4月から施行されています。
それによって時間外労働時間の上限は原則、月45時間・年360時間に制限されていますが、トラックドライバーなど自動車運転業務は2024年3月末まで時間外労働の上限は適用されずに2024年4月以降からの適用となっています。
2024年4月以降は年間時間外労働時間の上限が特別条項付き36協定を締結する場合で960時間となります。
他業種の年間残業時間の上限は720時間のため、240時間多く残業することが可能ではあることや、月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内・月45時間を超える月は6か月までなどの規制も適用対象外です。
年間時間外労働時間960時間を超えない場合には、1か月あたり100時間超や数か月平均80時間を超えても問題ないととらえることができるでしょう。