2024年3月まで猶予されていたトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制は、ついに2024年4月から年960時間となりました。
これにより、トラック・バス・タクシーのドライバーが残業できる時間について、月45時間・年360時間以内の制限が適用されます。
しかし実際には、規制内容が複雑で分かりにくいといった声もあるようです。
そこで、運送業界のドライバーの残業規制について、時間外労働は何時間まで可能なのか紹介していきます
運送業界の2024年問題とは、2024年4月からドライバーの労働時間に上限が設けられたことにより、発生する問題のことです。
労働者の時間外労働に関する規制については、物流・運送・建設・医療業界などは例外的に5年間の猶予期間が適用されていました。
しかし猶予期間も2024年3月末で終了し、2024年4月からは運送会社のドライバーも時間外労働規制の対象です。
長時間労働で稼いでいたドライバーなどは、規制により収入が減少してしまうため、離職が進む恐れも懸念されています。
人材確保が難しい業界であることや、既存のドライバーの高齢化が進んでいることなどで、今後は存続危機に陥る運送会社が増えることが懸念されています。
運送会社のドライバーに対する時間外労働の上限規制は、2024年3月まで猶予されていました。
しかし2024年4月から、自動車運転業務における時間外労働の上限も年960時間に設定されています。
なお運送会社の場合、2024年4月1日以降、以下の適用となります。
・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限は年960時間となる
・時間外労働と休日労働の合計に「月100時間未満」「2〜6ヶ月平均80時間以内」の規制は適用されない
・時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月までの規制は適用されない
時間外労働の上限規制だけでなく、拘束時間・休息時間・連続運転時間に関する基準も次のとおり改正されています。
・1日の拘束時間は13時間以内(14時間超は最大15時間で週2回まで。宿泊を伴う長距離貨物輸送は週2回まで16時間まで延長できる)
・1か月の拘束時間は原則284時間以内(労使協定締結で1年のうち6か月までは1か月310時間まで延長できる)
・1年の拘束時間は原則3,300時間以内(労使協定締結で年間3,400時間まで延長できる)
なお、拘束時間や休息期間に関しては「2人乗務の特例」「分割休息の特例」が適用されることがあります。