運送業の退職金は、会社の規模・勤続年数・雇用形態などで大きく異なります。
一般的に、運送業では退職金制度が導入されていることが少ないといえますが、近年では定着率向上を目指して導入する企業も増えています。
運送業における退職金は、企業規模・業績・従業員の勤続年数などを考慮しつつ、従業員の給与と勤続年数を掛け合わせて計算する方法などがあります。
独自の基準で退職金額を定める以外にも、中小企業向けの退職金共済制度を利用することも可能です。
そこで、運送会社の退職金について、設定に活用できる制度を紹介します。
「退職金一時金制度」とは、従業員が退職するときに、一括で退職金を受け取る制度です。
最も一般的な退職金の支給方法であり、勤続年数や退職理由で支給額が決まります。
会社が独自に積立金を管理し、支給額は「基本給×支給倍率×勤続年数」などで算出されます。
自己都合と会社都合による退職では、支給倍率が異なることが多いため注意しましょう。
役職や貢献度でも追加の支給があり、長期勤続のインセンティブとして機能します。
「中小企業退職金共済(中退共)」とは、中小企業で働く従業員向けの国の退職金制度です。
会社が毎月掛金を負担し、従業員が退職する際に直接退職金が支給されます。
支払う掛金は、月額5,000~30,000円で設定ができることと、掛金の一部は損金算入できるため、税制面でのメリットもあります。
また、従業員の転職先が中退共に加入していれば、積立期間を通算できます。
「企業型確定拠出年金制度(DC)」とは、会社が毎月一定額を拠出し、従業員の年金口座に掛金を積み立てて、従業員本人でその資産を運用する制度です。
運用結果が直接退職金に反映されますが、従業員本人が運用する商品を選べます。
なお、運用益は非課税の扱いです。
その一方で、60歳までは引き出しできないことはデメリットといえます。
運用次第で、受取額が変わるリスクも理解しておくことが必要です。
「確定給付企業年金制度(DB)」とは、会社と従業員が給付内容についてあらかじめ決めておき、高齢期に内容に基づいた給付を保証する制度です。
従業員は運用リスクを負うことがなく、勤続年数や給与に応じた一定額を受け取れます。
将来の給付に必要な掛金を計算し、外部の金融機関で管理・運用することが特徴です。