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物流業者が新型コロナにより労働者を休業させた場合の休業手当の扱い

2020.09.05
分類:総務

新型コロナウイルス感染症の影響により、物流業界でも従業員を休業させるといった対応がとられたこともあるかもしれません。

その際、休業手当は支払う必要があるのか、物流会社では企業の行う対策を知っておくようにしましょう。

法律上の休業手当の扱い

労働基準法によると、使用者である会社は「使用者の責めに帰すべき事由」での休業については平均賃金60%以上である休業手当を支払う必要があるとしています。

ただ、その休業の原因となった事故が事業外部からの発生で、事業者は事故が起きないように最大の注意を尽くしていたのに避けることができなかった不可抗力によるものの場合には、休業手当の支払い義務はありません。

では物流会社内などで新型コロナウイルスに感染・発症した労働者や、感染のおそれがある濃厚接触者にはどのように対応すればよいのでしょう。

 

新型コロナの感染・発症が見られる労働者への対応は?

まず、新型コロナウイルスへの感染・発症した労働者に対しての対応を確認しておきましょう。

都道府県による就業制限によって労働者が休業する場合には、休業手当を支払う必要はないといえます。就業制限がなくても、新型コロナウイルスに感染・発症していることで休業となった労働者については休業手当の支払いは不要と考えられます。

では新型コロナウイルスへの感染のおそれがある濃厚接触者についてはどうでしょう。

休業させるべきとは考えられますが、いずれにしても風邪の症状がみられる場合や、37.5度以上の発熱が4日以上続いている場合、他にも倦怠感や呼吸困難などの強い症状がある場合にはいずれにしても職務を継続させることはできません。

休業手当を支払う必要はないと考えられますが、症状が特に見られない場合には双方が話し合いを行い専門家の意見などを踏まえて判断したほうがよいでしょう。

 

事業所を閉鎖することになった場合には?

では会社内で新型コロナウイルスの感染者が判明し、現場を消毒するため一旦閉鎖することになった場合はどうでしょう。

閉鎖している間、感染していない健康な状態の労働者も休業させることになりますので、休業手当や賃金は支払わなければならないのか気になるところです。

この場合、閉鎖の有無や期間、他の配置に転換できるか、テレワークを実現できないかなどを踏まえながら、雇用契約・助成金の受給可能性なども含めて検討することが必要といえます。

なお、運送業には法的根拠に基づいた休業要請がなされていなかったため、運送業を営む事業者が業績悪化などを理由に労働者を休業させれば休業手当の支払いが必要となるでしょう。