2020年4月からは、働き方改革関連法により大企業には同一労働同一賃金が求められるようになりました。
正規の正社員と非正規雇用の待遇格差については、これまでも問題として取り上げられることは多くあったといえます。
その中で大手物流の日本通運は、2019年4月から各地支店に勤務する非正規雇用の賃金も、正社員の水準まで引き上げを行いました。
物流業や製造業、小売業などは非正規社員が多い業界といわれています。
正社員と非正規雇用の待遇格差が問題視されていましたが、それを是正するため先がけて取り組みを行ったのが日本通運です。
他にも非正規雇用から正社員に転換させ、格差をなくす企業もあるなど、働き方改革関連法に対応する取り組みが物流業界でも多く見られるようになりました。
日本通運で働く非正規雇用の社員は、全体の3割強、1万3千人います。その日本通運では、フルタイムで働く非正規雇用の社員の賃金体系について、同じ支店で転勤のない正社員と同じ水準まで引き上げました。
対象となるのは事務職、営業職、フォークリフト運転手などで、約数千人規模の賃金水準が正社員と同レベルに引き上げとなり、待遇改善による人材獲得を目指していると考えられます。
2018年5月には、ヤマト運輸が入社するフルタイムのドライバーはすべて正社員採用とする社内制度に改めています。
それまでは契約社員として採用し、2年の試用期間や社内試験を経た後に正社員となる仕組みでした。
しかし物流施設や事務で働く契約社員も、希望することで正社員になることが可能となり、待遇格差の是正が進んでいるといえるでしょう。
日本郵政グループでも2018年、正社員のみに限定されていた1日4千円の年始手当を非正規雇用の社員にも支給することとし、ボーナスも上積みすることを決定しました。
このように様々な大手物流で、正社員と非正規雇用の格差を解消する取り組みはすでに実施されており、不足する人材を獲得するためにも今後さらに見直しが進むことが予想されます。
非正規雇用で働く社員にとって、正社員との格差がなくなることは喜ばしいことでしょう。
しかし給与的に評価で差がつかず、優秀な人材やモチベーションの高い人材が退職してしまうケースも出てきているようです。
横並びで安定した収入を得ることができれば、働きやすくなり恩恵を受ける社員もいると考えられます。
しかし能力やモチベーションが高い社員にとって、適正な評価をしてもらえないと感じてしまう弊害も生まれやすい状況を作っているといえます。