日本は少子高齢化が進んでいますが、物流業界でもその波が雇用環境に大きく影響しています。現在働いている就業者も高齢化が進み、若い人材を雇用したいと希望しても、物流の仕事の3K(危険・汚い・きつい)というイメージから希望者があらわれにくくなっているといえるでしょう。
しかし現在の物流業界は、ITや最新機器などの導入や、安全性向上などへの取り組みも進んでいるなど、今日の実態が反映されていないともいえます。
政府はこのような状況を踏まえて、物流業界の労働力不足対策のプランとして「仕事満足度向上作戦(3Kから5Sに転換させる)」ことや「効率性向上作戦(物流に配慮した建築物を設計・運用するなど)」を打ち出し物流機能を安定させようとしています。
しかし政府に頼っても思うように結果が出ず、すでに切実な労働力不足問題を抱えている民間の物流企業などは、独自の取り組みを進めるといったことも実施しているようです。
首都近郊の物流適地と言えば、従来までであれば東京湾岸部が中心でした。
しかし昨今では高速道路の延伸などでインフラが改善され、配送距離や大型用地を確保するといった観点から、内陸部で大型物流施設が多く開発されるようになっています。
新たな物流開発地周辺の中には、若年層の人口が増えることが期待される住宅開発エリアもあるのは、物流施設の開発業者が雇用を確保しやすくするためと考えているからでしょう。
労働力を安定・継続して確保することは首都圏でも重要な課題になっていますが、事業展開する上では労働力のターゲット層の人口減少に耐力できるエリアかを事前に調査し、見極めることが重要になっていると考えられます。
物流業界の就労者の高齢化と労働力不足は、この10年間でさらに深刻化しているといえます。
もちろん、地域や取り扱う貨物などによって差はあるものの、物流倉庫の中には工場に人材が集まらず業務の一部を倉庫にアウトソーシングされ、倉庫での人が不足するという事態が起きているようです。
他にもトラックドライバーが行っていた荷揃え業務が倉庫に移る、またはパレット化されたことにより倉庫の荷降ろしに必要な人材を増員しなければならなくなるといったことも見られます。
そして上場企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から働き方改革により、時間外労働は年720時間という上限規制を守らなければなりません。
働く時間も制約されることになり、不足する人手を時間で解決させることも難しくなりました。
今後どのように不足する人材を確保するのか、雇用環境改善などが物流業界にとって課題となっているのは言うまでもありません。