インターネットなど、ネットワークを介し契約・決済などの取引形態をEコマースといいますが、ネットショッピングなどEコマースの利用拡大により、物流クライシスという問題が起きました。
特に個人事業主でドライバーとして働いている一人親方などは、労働時間が長くなりいろいろな問題を抱えることになったといえますが、過労運転の対象になるのでしょうか。
物流クライシスとは、宅配荷物の量が急増しているのに、配送側の宅配会社の体制が追い付けずにサービスの水準を維持できなくなる問題を指しています。
Eコマース市場拡大は、この物流クライシスや宅配クライシスという社会現象を起こしたといえるでしょう。
その中でも軽貨物運送事業者である個人事業主は、自身がドライバーでも経営者として扱われ、改正貨物自動車運送事業法による荷主勧告制度の対象となります。
貨物自動車運送事業法が改正され、荷主勧告制度も強化されることとなり、対象として軽貨物事業者も追加されました。
個人事業主が団体に加盟していれば、契約次第では加入している団体が元請けになることもあるでしょう。軽貨物運送事業者をフランチャイズ展開させていれば、元請けとして荷主勧告制度の対象になるともいえます。
たとえば自社商品を軽貨物事業者で配送しているのなら、荷主であり荷主勧告制度の対象になるのです。
Eコマースの1つ楽天サイトは、モールなので荷主ではなく、荷主に該当するのはモール内の店舗であり、楽天側が軽貨物運送事業者の長時間労働への対応は行っていないようです。
ファッション通販サイトであるZOZOTOWNを運営するZOZOは、ヤマト運輸とのみの契約であり軽貨物運送事業者とは契約していないとしています。
オフィス用品の通販であるアスクルでは配送業務担当のグループ会社は軽貨物運送事業者との間で取り扱いを行い、注意喚起を促しながら対策を行っているところのようで、たとえば荷渡しの時間厳守の管理、積載量をできる限りコンパクトすることなどに配慮しているようです。
令和元年9月6日には、厚生労働省が「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」を開設しています。
開設されたサイトは、貨物運送のトラックドライバーの長時間労働の現状とその改善に向けた取り組み・施策などを、荷主企業やトラック運送事業者などに向けて知らせるためのものです。
他業種よりも長時間労働の実態があるトラックドライバー。その背景には荷主や配送先の都合が関係しているため、互いが協力しあいながら取引環境を適正化させることが必要不可欠とうたいえるものといえるでしょう。
法人・個人事業主に限らず、提供されている情報を確認しておくことをおすすめします。