物流業界で働く方が加入できる倉庫業企業年金基金。複数の事業所が参加し運営している総合型の確定給付企業年金のことですが、運輸業や倉庫業を営んでいる厚生年金保険の適用事業所ならどの地域でも加入できることが特徴です。
単独で制度を設立するよりも、複数の事業所が加入すれば運営コストを抑えることができるといったメリットもあります。
事業主が掛金を負担しますが、支払った掛金は全額損金扱いとなるため節税対策にも有効です。
物流・倉庫業の事業所が倉庫業企業年金基金に加入した場合、退職金積立てを平準化できる上に、働く従業員は外部積立となるため受給権を確保することができます。
この倉庫業企業年金基金は、平成29年5月1日に厚生労働大臣の認可を受けており、確定給付企業年金法に基づいた制度で運営されています。
東京倉庫業厚生年金基金が代行返上された後で、東京倉庫協会・東京冷蔵倉庫協会・全国倉庫事業協同組合に加入している倉庫業界の事業所がメインとなり、事業所で働く従業員の生活向上を目的とした後継制度として設立されました。
倉庫業企業年金基金で掛金を負担するのは事業主のため、加入者が支払いをする必要はありません。
支払う掛金は、加入者ごとの標準給与額を合算し、掛金率(標準掛金1.00%+事務費掛金0.23%=1.23%)を掛けて計算します。
給付設計には加入者ごとの仮想個人口座を開設し、事業主が負担する標準給与月額1.0%と年2%で複利計算する利息分を積み立てるキャッシュバランスプランが採用されます。
しています。
退職するまで掛金を積み上げていき、利息との合計が年金や一時金の原資となります。
倉庫業企業年金基金の給付には、老齢給付金・脱退一時金・遺族給付金があり、基金への加入期間と退職により資格を喪失した年齢により以下のように給付が決定します。
このうち老齢給付金で受給できるのは、
・加入期間20年以上で60歳未満での退職をした方が60歳に達したとき
・加入期間20年以上の加入者が60歳以上65歳未満で退職したとき
・加入期間20年以上の加入者が65歳に達したとき
です。
給付開始時期は、退職により資格を喪失した時の年齢が60歳未満なら60歳からとなり、60歳以上65歳未満で退職した場合は退職のときから、65歳で退職または資格喪失年齢に到達したことで資格を喪失した場合は65歳からとなります。
受給期間は5年・10年・15年・20年から本人が選ぶ形です。
受給できる金額は、年金支給が開始されるタイミングの仮想個人勘定残高÷確定年金原価率(年利2.0%)で計算します。