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物流業界で人手不足解消に活用したい在職老齢年金制度とは?

2021.03.16
分類:総務

20206月、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、高齢者の今後の働き方が変わってくると考えられます。

現行の高年齢者雇用安定法では、65歳まで定年を延長するなど高齢者の雇用を確保することが事業主に義務化されています。

さらに20203月の改正によって70歳まで努力義務とされたことで、65歳から年金の受給が可能となっても、年金を受け取りながら働き続ける方も増えることとなるでしょう。

物流業界は現在人手不足のため、高齢者が働きながら年金をもらう「在職老齢年金制度」をうまく活用し問題を解決していくべきといえます。

公的年金はどのような制度?

現役世代が親世代を支える公的年金制度は、20歳になれば日本国内に住む人が国民年金に加入し保険料を納めることで成り立っています。

原則、65歳から受け取ることが可能となり、年金を受給しながら厚生年金保険に加入して会社勤務することも可能です。

これが在職老齢年金制度であり、会社に勤務しながら給料をもらっている方は、年金が少しカットされる内容になっています。

一定の基準額を超える、受給できる年金の一部または全額がカットされることになりますが、年金額が減少しないように収入を一定額に収まる形で働く時間を調整しながら働いている方が多いようです。

20224月に施行される改正では、60歳~64歳の基準額が28万円から、65歳以降の基準額と同額の47万円に引き上げられました。

引き上げとなったため、給料で収入を多く得たとしても年金の一部や全額カットとなる方が減ることとなり、働く時間を調整しなくてもよくなったといえます。

 

就労時間を気にせず働く高齢者が増える

年金もカットなく受け取りながら、給料で収入も増やすことができるのは問題ではないか?と感じる方もいるでしょう。

しかし従来までは就労時間を調整しながら働かなければならなかった方が、長時間労働することが可能となったため、人材不足の問題を抱える業界でも60歳~64歳の方に引き続き働いてもらいやすくなったといえます。

物流業界でも高齢の方に現場で時間を気にせず活躍してもらうことができるようになれば、人手が不足している問題の解消につなげることが可能となるはずです。

他にも従来までは老齢厚生年金の受給権取得後に就労したとき、資格を喪失する退職・70歳到達のときに受給権所得後の被保険者期間を加え年金額の改定を行っていました。

しかしこの内容も見直しされ、就労を続けた効果を年金額に反映するため、65歳以上の方は在職中でも毎年1回は年金額を改定することとされています。