物流・運送業界では、ドライバーの健康が原因で起きる事故が増えたこと、さらに運転中に意識を失うなどで暴走し重大事故を起こすこともあることなどから、ドライバーの健康に関する取り組みの見直しが行われるようになりました。
そのため一旦は疾病の治療などで休業していたドライバーを復職させる場合でも、ドライバーの健康状態などには十分注意が必要です。
特に最近ではドライバーの平均年齢が高くなっているため、疾病リスクも大きくなっていることから、より企業は対策を強化することが必要といえます。
現状、ドライバーの健康に何らかの不具合が見つかった場合には、乗務することにおいて企業もドライバーもどちらも不安を抱えることとなります。
もし疾病が見つかった場合でも、治療と仕事の両立が可能となればドライバーも経済的に自立できるでしょうし、企業としても人材を失うことは免れます。
ただ、日本では段階的な復職を認めることへの配慮に関する法整備などは進んでいません。
そのため企業ごとの対応が求められることになります。
例えば日本人の男女どちらの死因も1位になっている「がん」の場合、医療が発展したことで共生できる職場環境を作っていくことが求められています。
しかし正社員の方が「がん」になった場合、その約4割の方が転職し、パートや派遣などの非正規社員になっていたという調査結果もあるなど疾病と仕事の両立ができているとはいえない状況です。
そして65歳未満で発症する若年性認知症も問題視されており、高齢者が増えている中で今後は大きな課題となる可能性もあります。
厚生労働省も都道府県ごとに「若年性認知症支援コーディネーター」を配置しており、職場にも勤務調整や就労を継続させるアドバイスを行い、職場へ復職する上での支援も行っているようです。
トラック運送業でも段階的に職場への復職を支援する取り組みや職場環境の整備が必要となっていますが、やはり肉体労働であるドライバーとして復帰した後で働けるかはわからないといえます。
さらに企業の自助努力で補うことができない部分もあるため、病気で休職している期間中に採用した代わりの派遣社員にかかるコストなどを助成金として支給するなど、国が支援する制度も今後は必要となるでしょう。