人材を雇用し、正式採用する前には試用期間を設定し、解雇のハードルを下げる雇用形態を採用している企業は少なくありません。物流企業などでも一定の試用期間を設けている会社もあるでしょう。
ただ、試用期間中でもその扱いは正社員と変わらないため、給与や社会保険への加入などは正社員同様で扱わなければなりません。物流会社などが人を雇用し、ひとまず試用期間中という場合でも、給料が発生する雇用形態なら入社初日に社会保険に加入させなければなりません。
試用期間が2か月以内なら、期間も短いので社会保険に加入する必要はないのでは?と考える方もいるでしょう。
社会保険の保険料は労使折半なので、試用期間が終了してからのほうが事業者も負担を軽減できます。
しかし社会保険への加入義務が発生しないのは、2か月以内の有期契約であり契約延長する見込みがないときだけです。
正式採用を見込んだ試用期間であれば、この条件には該当しないため2か月という短い試用期間でも社会保険に加入することが必要となります。
もし試用期間中、労働者側の都合で退職することになったときには、新しく転職する先で不利になると考え、まだ社会保険に加入したくないという方も出てくるかもしれません。
しかし社会保険への加入は義務化されているため、事業者側だけでなく労働者側から拒否することもできません。
加入条件がそろっている会社であれば、試用期間などに関係なく社会保険に加入することが必要となると認識しておきましょう。
どのような会社でも社会保険の加入義務があるわけではありません。
加入義務があるのは、次の条件に該当する強制適用事業所の従業員です。
・株式会社など法人事業所(事業主のみの会社含む)
・従業員が常時5人以上在籍している一部業種を除く個人事業所
個人事業所の場合、強制適用事業所に該当する事業とそうでない事業がありますが、強制適用事業所に該当するのは次の業種となっています。
・製造業
・土木建築業
・鉱業
・運送業
・金融保険業
・物品販売業
・公告業
・電気供給業や医療保険業などインフラ関連
・教育や研究に関する業種
・通信や報道に携わる業種
などです。
反対に加入義務が発生しない業種には、
・農林漁業
・飲食や接客などのサービス業
・理容および美容
・娯楽業
・法律事務所や会計事務所など専門的な自由業
・寺社や教会といった宗教施設
などが挙げられます。
強制適用事業所に該当しない場合でも、任意適用事業所として厚生労働大臣の認可を受けることにより社会保険に加入することはできます。
ただし従業員の半数以上が社会保険への加入に賛同していることなど、要件もあるので注意しましょう。