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物流業界で一旦定年退職した方を再雇用するときに注意したいこと

2021.03.24
分類:総務

日本の総人口はすでに減少傾向にあり、高齢化はどんどん進んでいますが物流業界で働く労働者もその傾向が見られます。

物流会社などの高年齢労働者も増加傾向にある背景には、高年齢者雇用安定法の改正で従業員が希望すれば65歳まで続けて働くことが可能となる措置が事業者に義務付けられたからです。

実際、物流・運送業界でも一旦は定年退職した方が、年金受給開始までの空白期間を埋めるため、再雇用され働き続けることは少なくありません。

高年齢者雇用安定法の改正で定年退職者は減少した?

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、従業員の定年を定めるときには定年年齢を60歳以上にすることが必要であり、65歳未満に定めている場合には65歳までの定年年齢を引き上げるか、65歳までの継続雇用制度を導入するか、定年制度そのものを廃止するか選ぶことが必要となりました。

60歳以上の方も、まだまだ働くことができるという元気な高齢者が多く、約8割が65歳以降も就労を希望している状態です。

年金だけでは老後資金に不安があると感じる方が多いのも、定年退職した後も働きたいと考える理由として挙げられるでしょう。

 

高齢であるゆえの配慮も必要

しかし引き続き働きたい高齢のドライバーがいたとしても、視力や体力が衰えてしまえば長距離運転や夜間運行は厳しい状態となります。

免許更新などができないケースも考えるため、ドライバーとしてではなく別の作業に就いてもらうか、夜間運行が難しいなら日中運行のみ担当してもらうといった配慮が必要となるでしょう。

倉庫内作業を担当する場合でも、重量物などではなく軽作業を主に担当してもらうことや、残業なしにするといった対応が必要になる可能性があります。

従来までと同じ仕事を遂行することが難しくなるケースも想定しながら、臨機応変に対応していくことが事業者に求められるといえるでしょう。

 

一旦は定年退職した高齢の労働者にやりがいを感じてもらうには

引き続き現場で働くとしても、再雇用という形で一旦は定年退職を迎えています。そのため昇給がない上に給与は減少するといったケースも少なくありません。

ただ、その場合には仕事内容や量、責任、労働時間などを緩和する対応を行うことが必要であり、従来どおりという場合には高齢労働者のモチベーション維持が困難になると考えておくべきです。

公正な評価やフィードバック、昇給などでモチベーションを向上させることも可能であり、やりがいを引き出すためには新たな肩書きを付与することも方法といえます。