会計処理において、運送費は「販売費及び一般管理費」に含めるべきか迷うこともあるようです。
運送費は運送会社に支払う運賃・荷造発送費・配送費などいろいろありますが、発生する費用によって「販売費及び一般管理費」に含める場合もあればそうでないときもあります。
そこで、運送費は会計処理において何で計上すればよいのか、その内容をご説明します。
商品や原材料などの仕入れで企業が負担する運送費の場合、自社工場や物流倉庫などの保管場所に納入するまでの費用は、棚卸資産の取得原価に含めることになるので仕入れ代金の一部とされます。
機械や車両などを購入したときの運送費も、同じく有形固定資産の取得原価に含めましょう。
メーカー企業の場合には、製品を製造する過程で原材料や仕掛品の工場内、または工場間を移動させる上で運送費が発生しますが、この場合には製品の製造原価に含めることになります。
このような運送費は棚卸資産の取得価額に含めることとなり、期末に製品などの棚卸資産が販売されず残っていたときには、棚卸資産として翌期に繰り越します。
翌期以降は棚卸資産を販売したタイミングで、売上原価として計上処理してください。
取引先に製品を販売したときや商品を送り先に届けるときに発生する運送費を、製品や商品の販売会社が負担することもあります。
これらの運送費は荷造発送費とされ、荷造の梱包資材費・外注費・ガソリン代・運送会社に対する運送料などが含まれます。
販売に直接かかった運送費は、販売費及び一般管理費で処理することとなり、製品や商品が販売された期間の費用で計上します。
内部管理を行う上でも運送費は発生します。たとえば商品などの物流倉庫間の配送、本社と支店の書類送付などがその例ですが、このようなケースでの運送費は販売費及び一般管理費に含め処理しましょう。
同じ運送費でも、発生のタイミングやどのような内容の費用かによって会計処理で用いる勘定科目は以下のように異なりますので、間違わないようにしてください。
仕入れのときに負担した運送費…棚卸資産の取得原価に含め、販売の際に売上原価として処理する
製造過程で発生した運送費…製造原価に含め、販売の際に売上原価として処理する
販売の際に負担した運送費…販売したときに販売費および一般管理費として処理する
管理上で発生した運送費…発生した期間に販売費および一般管理費として処理する