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運送業が働き方の改善を進めていく上で課題となることとは?

2021.09.02
分類:総務

運送業でも働き方の改善が求められていますが、実際には他業界よりも長時間労働が常態化しており、働き方改革を進めていくことは簡単なことではありません。

時間外労働の上限規制の適用時期まで猶予期間はあるものの、後手後手の対応で手遅れにならないためにも、今から働き方の改善に努めていくようにしましょう。

運送業が働き方の改善を進めていく上で課題となること

運送業はすべての産業の平均よりも賃金が低めです。特にトラック運送業は賃金が2割ほど低いのに、労働時間は12割ほど長いといった現状が課題となっています。

ドライバー不足が深刻な問題となっているため、すぐにでも働き方の改善で処遇を見直し、入職者を増やしたいところですが、ドライバーが基本的に社外で仕事をしていることで働き方改革が進めにくいのが現状です。

教育や業務改善を進めたくても、管理者がいる倉庫や事業所内ではなく、公道・卸先・積込先などで働いているため労務管理が難しいといえます。

運転日報・デジタルタコグラフ・ドライブレコーダー・チャート紙などで働き方を把握できても、すべてを把握することは困難なのです。

 

同一労働・同一賃金にも注意を

働き方改革の1つである同一労働・同一賃金についても、働き方の改善を行う上では見直しが必要になります。

同一労働・同一賃金とは、正規雇用と非正規雇用を区別せず、仕事や能力が適正に評価されることを意味しますが、日給ドライバーなど非正規雇用が多い運送会社などは各種手当の趣旨を再度検討し賃金制度の見直しが必要です。

残業時間の罰則付き上限規制の適用も、ドライバーとドライバー以外では対応が大きく異なる点にも注意が必要といえます。

ドライバーは残業時間が年960時間の上限規制となるまであと4年の猶予期間があるのに対し、ドライバー以外は202041日から適用されています。

上限規制は運行管理者や点呼担当者にも適用される点に注意しておく必要があるでしょう。

 

残業時間で人件費負担が増える可能性大

さらにすべての企業で202341日からは、1か月60時間超の時間外労働分については5割増しの賃金を支払うことが必要となります。

運送業の場合、月60時間を超える時間外労働が発生することが多く見られるため、人件費が大幅に増えてしまう可能性があることを留意しておく必要があるでしょう。

割増賃金を増やさないためにも、やはり働き方の改善や見直しを行い、準備や対策を行ったほうが良いと考えられます。