働き方改革により、年10日以上の有給休暇取得の権利がある従業員には、最低でも5日以上有給休暇を与えなければなりません。
運送業も同様にこの有給休暇付与の義務化を守ることが必要ですが、対象となるのはどのような従業員なのか、年次有給休暇の注意点などについてご説明します。
5日以上有給を取得してもらなければならない従業員とは、
入社後6か月経過している正社員やフルタイム契約社員
入社後3年半以上経過している週4日勤務のパート社員
入社後5年半以上経過している週3日出勤のパート社員
このいずれかに該当する従業員は、年10日以上の有給休暇を取得する権利があり、最低でも5日以上付与する義務の対象です。
もし対象となる従業員なのに有給休暇の指定をしなければ労働基準法違反になるため、運送業者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
中小の運送会社の場合には、年次有給休暇そのものを理解できていないことや、付与できていないこともあるため注意が必要です。
歩合給での賃金に加えて1か月あたりの労働時間管理と勤務予定表の作成を行い、しっかりと年次有給休暇について理解を深めていくべきでしょう。
有給休暇の取得が1年で5日に満たないと、残り日数は従業員の意向を聞き、前もっていつ取得してもらうか指示をして5日間消化してもらわなければなりません。
あくまでも仕事が予定されている日に休んでもらう必要があり、もともと休みに指定されていた日に取得することはできないので注意してください。
運送業では休日出勤なども発生しがちですが、その日はもともと休みだった日なので有給休暇の対象にはならない点にも注意が必要です。
有給休暇の対象日を従業員が確認しやすくするために、1か月の勤務予定表を作成し出勤日と休日出勤日の予定を立てることが望ましいでしょう。
運送会社の日々の仕事量は決まっているので、一度に多くのドライバーから一斉に有給休暇が申請されてしまうと、仕事が消化できず契約を失うことになりかねません。
そのため、配車の変更が可能な範囲で有給休暇の承認を行うことになるため、平日なら休日変更やフリー便変更などで承認することになるなど、申請日を変更してもらえないかドライバーにも協力してもらう必要があります。
祝祭日が多い月や年始などで業務の運休が多く、ある程度人員に余裕があるときには計画年休を指定することも可能です。
年次有給休暇は買い上げの予約をし、日数を減らし請求された日数を与えないことは労働基準法違反となります。退職の意思表示をしたときの残り日数には特段の決まりはないため、合意の上で対応することは可能とされています。