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運送業が労働基準監督署に法令違反と指摘されないために押さえておきたいポイント

2022.02.04
分類:総務

「労働基準監督署」や「労働局」では、運送業に対する監督・指導などを行いますが、もしも労働基準法違反と指摘されたときのダメージは計り知れません。

運送業の場合、特に指摘されやすいのは労働時間と休日についてですが、指導などの対象にならないためにも守らなければならない基準について把握しておきましょう。

労働基準法で決められた労働時間を守っているか

労働基準法の労働時間は、18時間・週40時間までと「法定労働時間」が決められています。

しかし労使間で「36協定」を締結していれば、この法定労働時間を超過してもよいですが、それでも原則として月45時間・1360時間という上限を守ることが必要です。

ただ、「36協定」による労働時間の延長限度基準の適用を受けない一定の業種に自動車運送業も含まれていますが、無制限に労働させてもよいわけではありません。

ドライバーの労働条件を改善するために、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が策定されているため、遵守するようにしましょう。

拘束時間

拘束時間は、労働時間・休憩時間・使用者に拘束されている時間のことであり、ドライバーの場合は原則113時間までで、延長するときでも最大16時間までとされています。

15時間以上の拘束時間になる日は1週間に2回までとされていますので、守るようにしましょう。

荷待ち時間

荷待ち時間も運転時間や整備・荷扱いの時間と同じく労働時間として扱われます。

休息期間

使用者の拘束を受けない期間が休息期間であり、原則、継続する8時間以上の休息が必要と定めがあります。そのため勤務と勤務の間は、8時間以上空けることが必要です。

運転時間

運転時間は、

・継続で4時間

2日平均19時間

2週間平均週44時間

などの限度が定められています。

休日

休日とは「休息期間+24時間」の連続した時間のことであり、32時間を下回ってはならないとされています。

 

労働基準法違反にならないために確認しておきたいこと

運送業では職場の実態が労働基準法違反なのか判断するため、次のことを事前に確認しておきましょう。

残業代の未払いはないか

労働基準法の時間を超えて労働したときには残業代の支払いが必要となるため、36協定がなく18時間・週40時間を超えた労働では残業代が発生します。36協定があるときには改善基準告示に示された時間を超えなければ残業代は発生しません。

長時間労働のリスク

運送業では長時間労働が問題となりやすく、過労で事故などを招きかねません。事故を起こせば被害者から損害賠償請求されることになり、刑事事件として扱われるリスクも高くなります。

ハラスメントなどの有無

先輩ドライバーや上司などが、無茶な行程を押し付けたり暴言を吐いたりしていないか確認しましょう。