運送業を対象とする監査には、トラック協会から受託された適正化実業実施委員会が実施する「巡回指導」と、地方運輸局の行う「トラック監査」があります。
このうち「巡回指導」では様々な指摘を受けることがありますが、特に「教育訓練」は安全配慮義務の観点から油断することなく継続して取り組むことが必要です。
そこで、運送業に対して行われる「巡回指導」により、指摘されることの多い「教育訓練」で注意しておきたいことをお伝えしていきます。
運送事業者に対しては定期的に「巡回指導」が実施されていますが、これはトラック協会から委託を受けた適正化事業実施委員会が行うものです。
それに対し「トラック監査」は、運送業の営業所を管轄している地方運輸局の監査担当が行いますが、次のような監査の種類があります。
・特別監査(死亡事故など起こしたときに行われる監査)
・巡回監査(法令違反の疑いがあると通報されたときの行われる監査)
・呼び出し監査(都道府県公安委員会から通報を受けたときに行われる監査)
「巡回指導」と「トラック監査」の大きな違いとは、行われた後に行政処分の対象となる確率です。
「巡回指導」では、事前に規定された指導項目により実施され、A~Eの5段階で評価されます。
このとき、DまたはE評価になったときには監査の対象となりますが、点呼をまったく実施していなかったり運行管理者が選任されていなかったりといったことがなければDやE評価を付けられることはありません。
そのため巡回指導で行政処分になるケースとは、よほど悪質な運送事業者でなければ0%とも考えられます。
それに対し、「トラック監査」のうち「特別監査」は、実施されれば行政処分の対象となる確率はほぼ100%です。
未実施事項が見つかれば行政処分になることは免れないと留意しておきましょう。
「巡回指導」ではいろいろと指摘を受けることもありますが、その中でも「教育訓練」に対しては安全配慮義務の観点から見ても、油断せず継続して実施するようにしましょう。
選任の担当者を配置できることが望ましいですが、中小・零細企業の場合には運行管理者が主体となって行われることが多く、多忙なあまりに十分な教育訓練に至っていないケースも少なくありません。
そのため巡回指導では、運転者に対する教育訓練について指摘されるケースが多くなっているため注意してください。