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運送業者が従業員を解雇するときに事前に必要となる解雇予告とは

2022.02.15
分類:総務

運送業者が従業員を解雇しようとするときには、少なくても30日前に従業員に対し解雇の予告をすることが必要です。

もしも30日前に予告しなかったときには、30日に不足する平均賃金を従業員に対し支払うことになります。

たとえば10日前に解雇予告したときには20日分以上の平均賃金の支払いが必要になるわけですが、この支払いのことを「解雇予告手当」といいます。

そこで、運送業が注意しておきたい従業員に対する「解雇の予告」について説明していきます。

労働基準法の「解雇の予告」に関する規定

労働基準法では、「解雇の予告」について第二十条で以下のとおり規定がされています。

“(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。“

もしも解雇予告を怠った場合には、刑事罰に問われる可能性もあるため注意しましょう。

月給・年俸制などの場合で、解約予告期間が30日よりも長くなるケースにおいても、労働基準法の規定によって解雇予告の義務は30日間に短縮されるといった見解もあるため注意が必要です。

労働基準法の規定はあくまで刑事罰を伴う責任なので、民事上、就業規則などによる取り決めがなされていないときには、30日を超える予告義務が別途存在するとも解釈できることから、加えて注意が必要です。

さらに「解雇予告手当」を支払わなかったときには、従業員が訴えを起こし、裁判所から手当の全額と付加金を支払うように請求されることもあると留意しておきましょう。

 

解雇予告をせず即時解雇が可能となるケース

予告手当を支払わず労働者を即時に解雇できるのは、次の事由により労働基準監督署長の認定を受けた場合である。

・天災事変やその他やむを得ない事由があるとき

・労働者の責に帰すべき事由(懲戒解雇に該当する事由がある場合など)があるとき

解雇予告および解雇予告手当は、失職に伴って労働者が受ける損害を緩和することが目的とされています。

たとえば331日付で退職届けを提出していたものの、その前の315日に即日解雇されたというケースでは、解雇予告手当30日分の平均賃金を従業員に支払うことが必要です。

14日以内の試用期間中の者(民法第627条の規定により、期間の定めのない雇用契約であれば民事上、使用者は2週間前に予告をしなければならない