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運送業の経営回復手段である「希望退職制度」と「早期退職優遇制度」は?

2022.03.05
分類:総務

運送業が経営回復を図る手段として「希望退職制度」や「早期退職優遇制度」がありますが、人件費を抑えるために労働者の早期退職を促すことを意味します。

リストラと呼ばれる整理解雇のように、一方的に契約解除するわけではありません。

制度を活用することで、労働者側にもメリットがある制度といえますが、穏便に退職を成立させるためにもどのような制度か知っておくとよいでしょう。

「早期退職制度」の2つの分類

早期退職制度とは、使用者が通常の退職より有利な条件を提示し、定年を迎えるよりも前に退職することを促す制度です。

人員整理やキャリアアップ支援などを目的として実施することが多い制度であり、提示した要件で退職する労働者には、様々な優遇措置がとられます。

終身雇用や年功序列はだんだんと衰退しつつあるため、制度を導入する企業も増えているといえるでしょう。

ただし早期退職制度は労働者に自主退職を促す制度となるため、法的な拘束力はありません。使用者から退職を強要することはできませんので注意してください。

この早期退職制度は目的や性質により、

・希望退職制度

・早期退職優遇制度

2つに分けることができます。

「希望退職制度」の特徴

希望退職制度とは、経営が悪化した企業などが、定年を迎える前の労働者に割増を加えた退職一時金などの優遇措置を提示し、期間を定め早期退職者を募る制度です。

業績悪化で人件費を削減しなければならないときなどに実施されます。

ただし退職を強要はできず、あくまでも労働者の意思が最優先されるため、双方納得のもとで穏便に退職を成立させることができます。

いわゆるリストラと呼ばれる整理解雇を行う前段階で導入する企業も少なくないですが、目標とする人数や期限など定めた上で行われることが多いといえるでしょう。

なお、希望退職制度で労働者が退職した場合でも、会社都合による退職とみなされます。

「早期退職優遇制度」の特徴

早期退職優遇制度は、早期に退職する希望者を募り定年前に退職を促す制度といえますが、中高年の生活設計の支援や組織活性化が主な目的なので、経営回復を目的とした早期退職優遇制度とは目的が異なります。

目標人員や期間なども定めずに、1年を通し恒常的に退職希望者を募ることになります。

早期退職に応じた労働者には、その後の生活を支える優遇措置を講じることになるのが一般的ですが、その優遇措置を選び退職することになるため、制度による退職は労働者の自己都合による退職として扱われます。