運送会社では、ドライバーの「健康診断」受診は義務化されていますが、医療機関で行う「人間ドック」との違いがわからないという経営者もいるようです。
そこで、ドライバーに適切でない健診を受けさせることのないように、一般的な「健康診断」と「人間ドック」の違いについて説明していきます。
運送業では、ドライバーの健康診断受診について、労働安全衛生法による定めに従う必要があります。
一般的な労働者の場合、1年1回は「定期健康診断」を受診させることが義務付けられています。
基本的に運送ドライバーも定期健康診断の対象となりますが、深夜業務を担当するドライバーなどは受診頻度が6か月ごとに1回になる可能性があるため注意してください。
この6か月ごとに1回受診を必要とするのは「特定業務従事者」ですが、対象となる場合には1年1回の定期健康診断では足らず、義務違反となる可能性もあります。
「健康診断」と「人間ドック」は、どちらも健康状態を把握するための検査という目的は同じです。
ただ、法的義務の有無については異なるため、それぞれの違いを確認しておきましょう。
「健康診断」とは、健康状態を診断して病気の兆候がないかを調べるために行います。
自覚症状が出にくい生活習慣病など、本人は健康と思い込んでいるケースも少なくないため、1年1回は健康診断を受けて調べる必要があります。
会社勤務している労働者は、労働安全衛生法に基づいて年一度、定期健康診断を受診することが義務付けられています。
この「定期健康診断」は「一般健康診断」や「一般健診」「定期健診」と呼ばれており、次の検査が実施されます。
・身体計測
・血液検査
・胸部X線
・尿検査
また、生活習慣病予防・早期発見を目的とした「特定健康診査(特定健診、メタボ健診)」は、40~74歳の方を対象に実施されます。
健康状態を確認し、生活習慣病予防や表面化されていない疾患の発見のためにも必要です。
「人間ドック」の場合、法的な義務はないため本人の意志で医療機関など受診し、検査を行います。
ただ、健康診断と異なり検査項目が多く、一般健診や特定健診で調べる内容に次の検査機器を使った項目が加わります。
・胃カメラ
・CT
・MRI
女性特有の疾患や、特定部位に特化した検査など、さまざまなコースが用意されていることが特徴です。
人間ドックの場合は、健康診断を受けただけでは見つけることのできない病気を早期発見することが主な目的といえるでしょう。